結婚生活で公然と冷遇された私、隣に住む世界一の大富豪に“命”として溺愛されるようになった
Fujii
恋愛現代恋愛
2026年06月29日
公開日
9.6万字
完結済
結婚して三年、藤崎紗織の夫は会社で一度も「妻」という言葉を口にしなかった。
彼女は弁護士であり、黒須玲司の“公にはできない妻”だった。
結婚記念日、彼女はレストランで三時間待ち続けた。
だが彼は、幼馴染の女性を当たり前のように迎えに行き、そのまま家に連れて帰った。
戻ってきたのは、二人が並んで写った写真だけだった。
深夜、彼女は家から追い出され、雨の中に立たされた。
「またか?」
その一言で、彼はすべてを片付けたつもりだった。
そして彼女は初めて、口にした。
離婚する、と。
それでも彼は信じていた。
彼女は自分から離れられない、と。
しかし三日後、交通事故がすべてを変えた。
目を覚ました彼女の前に現れたのは、十年ぶりの旧知――風間樹だった。
彼女は知らなかった。
この“事故”が、彼によって仕組まれた再会だったことを。
そしてもう一つ。
長年匿名で花を送り続けていた画家“K”の正体が、目の前のこの男だということも。
彼は彼女の過去をすべて調べ尽くしていた。
誰よりも長く、誰よりも静かに、彼女だけを見ていた存在だった。
一方、黒須家では権力争いが激化する。
義母は彼女を「ふさわしくない女」と公然と罵ったが、
彼女は弁護士として証拠を突きつけ、偽造と不正をすべて暴いた。
異母兄と“婚約者”の策略も、風間樹が隠していた影響力によって一気に崩壊する。
やがて黒須玲司は公の場で崩れ落ちた。
誰も彼を助けなかった。
義母は取締役会で排除され、
かつての愛人は債務に追われ、すべてを失った。
そして最後。
風間樹は静かに彼女へ告げる。
「もう全部、君が安心できる場所に置いてある」
彼女はようやく理解する。
失ったのは結婚ではなく、
最初から“守られていなかった場所”からの解放だったのだと。
そして今――ようやく、本当の人生が始まる。