ホシゾラ
恋愛現代恋愛
2026年06月30日
公開日
1.9万字
完結済
「私が突き落としたんだ。だから今すぐトラックに轢かれて、橘さんの腹ん中の子の命、きっちり償ってやるよ」
夫・高梨雷太の顔が一瞬で青ざめた。必死に私の腕を掴んでトラックの前から引きずり戻すと、奴は冷や汗をダラダラ流しながら、震える声で息を切らしていた。
……
姑・高梨文代は私に、初恋の女のために用意した漢方薬を「試飲」しろと強要してきた。体調を整えるための薬だとか何とか。
私は農薬のボトルを半分ほど掴み、迷わず一気に飲み干した。
一分と経たず、私は床に倒れ込み、泡を吹いて痙攣し、白目を剥き始めた。
姑の手から茶碗が落ちて粉々に割れる――
彼女は豚を屠殺するときのような悲鳴をあげて、医者に助けを求めた。
病院で一命を取り留めた後、夫の初恋相手・橘陽子が病室の外でしゃくりあげている。
そんな中、夫の弟・高梨健吾がドアを蹴り開けて飛び込んできた。手にはハンマーを握りしめている。
「おい、可哀ぶるなよ!これ以上兄貴を困らせるようなことしたら、このハンマーで頭ぶっ壊すからな!」
私はそれを聞くと、ガバッと起き上がり、ハンマーを奪い取って、自分の頭めがけて振りかぶった。
「さあ、どうぞ。ここだよ。叩いてみなよ。割れなかったら、あんたの負けだからね」
健吾は魂が抜けたように悲鳴を上げ、必死にハンマーを引き剥がそうともがき、よろよろと後ずさり、そのままペタリと床にへたり込んでしまった……