身代わり花嫁は“初恋の本人”だった――失って初めて気づく、十五年越しの片想い
ゆず
恋愛現代恋愛
2026年07月06日
公開日
2.1万字
連載中
早川涼介には、どうしても忘れられない初恋があった。
そのため彼は、彼女に似た“替え”を何人も自分の周りに置いていた。
その中で私は、一番似ていて、一番従順な存在だった。
言われた通りに和服を着て、
「聞くな」と言われれば黙り、
「婚姻届は出していない」と言われれば、そのまま去る。
それが私だった。
彼が新しい恋人を連れて宴会に現れた日も、
私はただ当たり前のように和服を脱がされた。
「ただの服だろう。誰が着ても同じだ」
私は泣かなかった。縋りもしなかった。
彼はきっと、私が止めると思っていたのだろう。
でも私は、その日、彼の前から消えた。
そして私を迎えに来た男は、十五年間ずっと私を探していた人だった。
――彼は知らなかった。
自分が“替え”だと思っていたその女こそ、
本当に探していた初恋その人だったことを。
さらに彼は知らなかった。
彼が会議室で膝をつき、私のスカートを掴んで「もう一度チャンスを」と叫んだとき、
私はすでに、別の男の指輪をしていたということを。