錯認の果て──不倫だと知らずに恋をした、私の物語。
髙山あきら
恋愛現代恋愛
2026年07月06日
公開日
7.1万字
完結済
二十二歳の春、真由は職場の上司である藤崎と出会い、仕事で失敗ばかりしていた新人時代に誰よりも優しく接してくれた彼へ少しずつ心を寄せるようになり、やがて恋人となってからの五年間、一度も疑うことなく、その関係を信じ続けていた。
土日は会えない。
年末年始も、大型連休も一緒には過ごせない。
家に招かれたこともなければ、結婚の話をしたこともない。
それでも真由は、それを不自然だとは思わなかった。
けれどある日、職場の同僚から告げられた「――藤崎係長が結婚していること、本当に知らなかったの?」という一言をきっかけに、当たり前だと思っていた日々は少しずつ揺らぎ始め、これまで信じてきた記憶や言葉を、一つひとつ見つめ直さなければならなくなる。
愛していた相手は、本当はどんな人だったのか。
なぜ、自分だけが知らなかったのか。
真実へ近づこうとするほど、真由は藤崎だけではなく、自分自身の記憶や感情とも向き合うことになり、信じるという行為の危うさと、それでも人を愛してしまう心のあり方を問い続けていく。
不倫そのものではなく、「信じること」と「知らなかったこと」をテーマに、一人の女性の揺れ動く心を静かに描いた恋愛文芸小説です。