私のおかげで成り上がった婚約者が女子高生を援助していたので、私は別の少年を育て、彼を次の婚約者にした
RIN-MO
恋愛現代恋愛
2026年07月09日
公開日
6.5万字
完結済
月城綾音は、ずっと信じていた。
自分は、婚約者である久世彰人にとって特別な存在なのだと。
彼女は彼に資金、人脈、名誉、そして婚約という未来まで与えてきた。
それでも、日に日に冷たくなっていく彼の態度を黙って受け入れていた。
しかしある日、綾音は知ってしまう。
久世彰人が密かに、十七歳の女子高生を援助していたことを――。
彼は彼女を軽井沢の温室へ連れて行き、東京湾で一緒に日の出を待ち、さらには海外交換留学のために動いていた。
それなのに、自分に向けられるのは形式的な挨拶と、遅れて届くプレゼントだけだった。
綾音は責めなかった。
泣き叫びもしなかった。
ただ車の中から、校門前に立つ細身の少年を見つめ、執事に静かに告げた。
「彼を連れてきて」
彼女は一本の木を育てることにした。
決して、自分を失望させることのない木を。
だが、綾音はまだ知らなかった。
その木が、いつか誰よりも強く彼女のために成長していくことを。
彼女がまだ「愛」というものを知らない時、
彼はすでに、彼女を愛する方法を覚えていた。