親友が「部屋を代わって寝よう」と言った夜、彼女の婚約者は私を彼女だと勘違いした
kiko
恋愛現代恋愛
2026年07月20日
公開日
5.5万字
完結済
佐々木唯には習慣があった。
親友の彼氏・青木が泊まりに来る夜になると、彼女はイヤホンをして、隣の部屋からの音がないふりをした。
声を出さなければ、生活は乱れないと思っていた。
ところが、あのエアコンが壊れた夜、親友が暑さを理由に部屋を代わろうと言い出した。
午前1時、酔った青木が寝室の引き戸を開けた——彼は彼女を別人だと思い込んでいた。
唯は暗闇の中で目を開けたまま、彼を押しのけることも、自分の名前を名乗ることもできなかった。
その沈黙が、彼女のすべての苦しみの始まりとなった。
親友は彼女のスマホを調べ、クローゼットを確認し、共通の友人のグループであたかも証拠のような切り取られたトーク履歴を拡散した。
唯は住む場所を失い、仕事を失い、すべての尊厳を失った。
そして、かつて一本のお茶代を立て替えてくれたあの男が、雨の中に立ってこう言った。
「待っているから。」