死に戻った私はクズ男を妹に譲った――後悔しても遅い。今の私は、冷徹な先輩との恋に夢中です
Suisu Rōru
恋愛現代恋愛
2026年07月17日
公開日
3万字
連載中
私は佐藤真由美。
高橋正人と結婚したあの日、私はようやく“帰る場所”を手に入れたと思っていた。
けれど結婚三年目。
私は毎朝五時に起きて、家族全員の朝食を作った。
深夜零時を過ぎても、彼の妹・優香が脱ぎ捨てた服を洗っていた。
彼は出張に私を連れて行ったことなんて一度もない。
それなのに、優香とは箱根の温泉旅行へ行った。
結婚指輪だってそうだった。
近所の奥さんに言われて、ようやく思い出したように買ってきた安物のシルバーリング。
優香がそれを奪うように指にはめても、彼はただ一言。
「気に入ったなら、あげるよ」
そう言って、返してくれなかった。
そして――あの日。
暴走した車が横断歩道へ突っ込んできた。
その瞬間、彼が反射的に抱きしめて守ったのは、優香だった。
私は跳ね飛ばされ、血の海の中に倒れた。
目の前で彼は優香を抱きしめ、背中を撫でながら繰り返していた。
「大丈夫だ、大丈夫だから」
でも最後まで――
一度も私を振り返らなかった。
病院のベッドで迎えたあの夜。
私はようやく気づいた。
この結婚で、私だけが家族だと思っていたのだと。
私は婚姻届を書き直した。
配偶者欄に記した名前は――優香。
そして私は荷物をまとめ、一人で東京へ向かった。
彼は知らなかった。
彼がようやく焦り、必死に私を探し始めた頃。
私はもう、新しい人に出会っていた。
深夜まで一緒に宿題を見てくれる人。
寒い日に、自分のコートを私にかけてくれる人。
大晦日の花火の下で、真っ直ぐに言ってくれた人。
「好きです」
周囲はみんな言う。
「あの人って、かっこよくて冷たいことで有名だよね」
……え?
冷たい?
どうして?
私には、全然そうは見えないんだけど。