氷の先輩がまさかの教授に?――特別客員教授との秘密の恋が始まりました
shizuku
恋愛現代恋愛
2026年07月21日
公開日
1.9万字
連載中
遠山明礼には、誰にも言えない秘密があった。
彼女には、ネットで付き合っている恋人がいる。
彼女は彼のことを「わんこ」と呼んでいた。
スーツ姿で跪かせたり、星型のブローチを送って「授業にも必ず付けてきて」と命令したり。
彼はいつだって素直だった。
優しくて、甘え上手で、彼女の言うことなら何でも聞いてくれる。
「明礼が言うなら、絶対にそうする」
そんな彼との時間が、彼女にとって唯一の癒しだった。
――そして、もう一つ。
彼女には頭を抱える相手がいた。
それは、彼女の大学院指導教官・榊原夏樹。
東大の客員教授。
毒舌で、冷淡で、容赦がない。
授業のたびに彼女の論文を名指しで批判する。
「論理の穴だらけだ」
「データの扱いが雑すぎる」
「この程度なら、退学した方がいい」
毎回のように叩きのめされ、授業が終わるたびに人生そのものを否定された気分になっていた。
彼女は知らなかった。
この二人が――
同じ人物だということを。
真実を知ったのは、ホテルの部屋だった。
彼女は自分の手で彼をベッドに拘束し、怒りのままに頬を叩いた。
「あなたなんて全然大したことない。別れましょう」
そう言った瞬間。
彼は簡単に拘束を解き、背後から彼女の腰を抱きしめた。
そして耳元で、低く甘い声で囁く。
「ねえ、明礼」
「ゲームはまだ終わってないのに、逃げるつもり?」
その時、彼女はようやく気づいた。
三ヶ月間続いたネット恋愛は――
最初から最後まで、彼が仕組んだ秘密のゲームだったのだと。
そして。
彼女が逃げようと思った時には、もう遅かった。