姉の代わりに百キロ超えの凶暴な男へ嫁いだ私――でも裏社会の夫は美しい貴公子で、牧戸家よりもここが私の本当の居場所だった
Nodonari
恋愛結婚生活
2026年07月22日
公開日
2.2万字
連載中
牧戸由紀は、逃げ出した姉の代わりに嫁ぐことになった。
相手は――。
醜く太った、百キロ超えの凶暴な男。
裏社会の跡取りとして恐れられる存在だった。
結婚後、由紀は聞こえないふりをし、手話でこっそり悪態をつきながら、毎日を耐えていた。
いつか、この結婚から解放される日まで。
そう思っていた。
しかし――。
彼女は知ることになる。
夫は醜くも、太ってもいなかった。
そこにいたのは、危険なほど美しく、誰もが目を奪われる裏社会の貴公子。
そして何より。
彼は最初から、彼女のすべての偽装に気づいていた。
終わった。
そう思った瞬間。
さらに予想もしない人物が現れる。
かつて結婚から逃げ出した姉だった。
姉は由紀の前に立ち、当然のように告げる。
「本来あるべき場所に戻して」
まるで優しい言葉を選ぶかのように。
けれどその言葉の奥には、由紀の障害や弱さを見下す冷たい嘲笑があった。
今までなら、彼女は黙って譲っていた。
でも――。
もう違う。
なぜなら。
かつて自分が恐れていた男が、今は彼女の前に立っているから。
彼は冷たい声で、はっきりと言った。
「俺が彼女を妻にしたのは、世間に見せるための飾りとして迎えたからじゃない」
「俺が妻として認める女は、最初から最後まで――牧戸由紀だけだ」
その瞬間。
由紀は初めて知った。
自分が帰るべき場所は、ずっとここだったのだと。