二十歳まで生きられない私に、財閥の夫が命を救うため全財産を注いだ――なのに家族は姉のために薬を譲れと跪いた
ダッシュバナナ
恋愛現代恋愛
2026年07月24日
公開日
1.9万字
連載中
誰もが思っていた。
篠原星こそが、篠原家に幸運をもたらす“福の娘”だと。
美しく、身体が弱く、バイオリンの才能に恵まれた彼女は、藤原家の未来の花嫁。
それに比べて、鈴は誰からも気に留められない次女だった。
短い髪。質素な服。
そして――二十歳まで生きられないと言われた少女。
そんな彼女の前に、銀次という男が現れた。
彼は一億円と一株のホタルソウを差し出し、鈴を篠原家から連れ出した。
宝石店で彼は彼女に告げた。
「このビル全部、今日から君のものだ」
財界の晩餐会では、皆の前で堂々と彼女を守った。
「鈴は俺の家なら百歳まで生きる」
「うちは愛情も金もあるからな」
星は鈴の婚礼衣装を奪った。
薬も奪った。
そして、生きる権利さえ奪おうとした。
でも、今回の鈴はもう譲らない。
なぜなら――
彼女には、あの人がいるから。
鈴が泣いている時、彼は塀を乗り越えて焼き鰻を届けに来る。
命を救う薬を手に入れるため、無制限の競りを仕掛ける。
そして死神の像さえ砕き、黄泉へ向かう彼女を引き戻そうとした。
鈴は、この結婚はただの取引だと思っていた。
けれどある日。
誰にも屈しないはずの男が、神の前に跪いている姿を見てしまう。
額を床につけ、震える声で願っていた。
「俺の命をあげてください」
「俺の命と引き換えに、彼女を助けてください」
鈴は、死神の鎖で二十年間耐えてきた運命を断ち切った。
そして夜明けが訪れる前に――
ようやく、自分だけの新しい人生を手に入れた。