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詐欺師の私が本物の花嫁に?――記憶喪失の偽装夫は、最強財閥の後継者でした
詐欺師の私が本物の花嫁に?――記憶喪失の偽装夫は、最強財閥の後継者でした
rain
恋愛現代恋愛
2026年07月24日
公開日
6万字
完結済
刃物を喉元に突きつけられた、その瞬間。 桐谷遥は、とっさに一つの名前を叫んだ。 彼女が経済誌の中でしか見たことのなかった名前。 ――青木静真。 青木財閥の後継者。 全国剣道大会の優勝者。 遥が言ったのは、ただ生き延びるためだった。 まさか。 その男が本当に、エレベーターの扉から現れるなんて思わなかった。 そして追跡者の前で、迷うことなく告げた。 「彼女は確かに、私の婚約者です」 さらに予想外だったのは―― 彼が続けて言った言葉。 「……私は、記憶を失っています」 遥は思った。 空から幸運が降ってきた、と。 彼女は急いで二人の恋愛の過去を作り上げ、 一途な恋人を演じ、 彼の父親から出された三つの試練に挑むことになった。 けれど、遥は知らなかった。 毎晩眠っている最上階のマンション。 その扉は指紋認証。 窓は防弾ガラス。 そして―― 記憶を失ったと思っていたあの男は、書斎の扉越しに静かに彼女を見つめていた。 彼女が、三ヶ月前の調査報告書を開く瞬間を。 最後のページには、こう書かれていた。 「今日も遠くから彼女を見た」 「彼女はコンビニの前にしゃがみ込み、アイスクリームを食べていた」 「とても幸せそうに、夢中で食べていた」 「ふと思った――」 「もし彼女が、このままずっと自由に、自分らしく生きられるなら……それも悪くないのかもしれない」

第1話 間一髪、彼女は死ぬところだった!

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