婚約者に熊の出る山道へ置き去りにされた私は、財閥御曹司の妻になった―それで彼は追いかけてきて、もう一度愛してほしいと
ななん
恋愛現代恋愛
2026年07月24日
公開日
1.2万字
連載中
藤原家では、二人の娘のどちらが政略結婚をするか、くじ引きで決めることになった。
藤原澪が引き当てた紙に書かれていたのは、「結婚」の二文字。
誰もが、妹の身代わりとして澪が犠牲になったのだと思っていた。
けれど澪は、撤回不可能な五十億円相当の生前贈与を確保し、本当の花嫁が誰なのかを婚約者に隠したまま、原谷明樹の妻となる。
二十年間行方不明だった過去を盾に、妹は両親の愛情も、澪が半年待ち続けたネックレスも、婚約者さえも奪った。
しかし、澪のスマートウォッチに、妹の告白がすべて録音されていることまでは知らなかった。
録音が公開され、偽りの失踪、出生の秘密、そして藤原商事の後継者の座を奪う計画が明らかになる。
父は妹の取締役推薦と資産贈与を取り消し、元婚約者もまた、自ら一線を越えた事実を認めざるを得なくなった。
経営危機に陥った藤原商事が支援を求めても、明樹は結婚を理由とした利益供与を拒み、澪に告げる。
「君が僕のそばにいる資格を証明するために、実家の後ろ盾なんて必要ない」
今度こそ、彼女は誰かの身代わりではない。