財閥に金糸雀として飼われた私――密かに一千億の資産を築き、下剋上の準備をしていた
K恋愛書かない
恋愛現代恋愛
2026年07月27日
公開日
2.2万字
連載中
大学院を卒業した日。
藤原澪は、ようやくすべての奨学金を返済し終えた。
しかし駅で彼女が目にしたのは、父親の残した借金を返すため、自分に頭を下げる母の姿だった。
絶望の中。
財閥当主・謝花友秀が、彼女へ手を差し伸べる。
「君には価値がある」
そう言われた。
だが、澪が貯金と経歴を持って彼のもとへ感謝を伝えに行った時。
彼は何でもないことのように告げた。
「俺のそばにいろ」
その日から。
彼女は港区の高級マンションへ置かれた。
自分の名前で呼ばれることもない。
何かを求めることも許されない。
ただ、美しく飾られるだけの金糸雀として。
それでも。
わずかに残った自尊心と、未来の研究費のために。
澪は彼から贈られた宝石も、バッグも、一つ残らず換金した。
そして、元金すらほとんどなかった口座へ、静かに積み上げていく。
ある深夜。
彼の書斎にある事業資料を目にした時、澪は初めて理解した。
この男が与えた「恩」は――。
ただ形を変えた、巨大な檻だったのだと。
しかし三年後。
謝花友秀が、彼女の作った詳細な資産明細を机へ叩きつけた時。
彼はようやく気づいた。
檻は、もう壊されていた。
静かだった金糸雀が、すでに鍵を噛み砕いていたことに。
怒りのまま彼女の顎を掴む。
だが、その瞳にあったものは、かつての従順さではなかった。
すべてを計算し、準備を終えた者の光。
澪は静かに微笑む。
「ご覧ください」
「私、あなたの株を買い取りました」