私を愛人として迎えた彼が記憶を失った日、彼の心にはずっと初恋の人がいた
昼夜
恋愛現代恋愛
2026年07月27日
公開日
7万字
完結済
佐倉愛は、三年間ずっと風間瑛司の“籠の中の鳥”だった。
彼は彼女にカードを渡した。
家を買った。
欲しい服も何でも与えた。
――ただ一つ。
愛だけは、決してくれなかった。
そんなある日。
彼が交通事故に遭った。
そして二十八歳の身体に宿ったのは、十八歳のままの純粋な心だった。
彼はまっすぐな瞳で、愛に告げた。
「俺には、好きな人がいるんだ」
愛は笑った。
そして静かに荷物をまとめた。
けれどその夜。
彼女は十人ものイケメンモデルを呼び、踊らせながらチップをばら撒いた。
そして泣き崩れる。
「私にはもう、お金しか残ってないじゃない……!」
彼女は思っていた。
自分はただの身代わりなのだと。
――そう思っていた。
二十三歳の彼が戻ってくるまでは。
以前よりも冷たく、荒々しくなった彼は、彼女を見下ろして言った。
「ずいぶん手を入れたんだな」
「大変だっただろ」
彼は彼女を初恋の女性の代わりだと思っていた。
整形したのだと決めつけ、肌まで黒く焼くよう命じた。
愛は唇を噛みしめた。
彼の初恋の姿になりきった。
彼とのデートにも付き合った。
彼を守るために傷を負った。
そして、彼を背負って逃げた。
どれほど傷ついても。
どれほど苦しくても。
彼女はまだ、彼を愛していた。
けれど最後に――
彼は彼女の前に跪いた。
愛は思った。
「もう終わりだ」
そう思った瞬間。
彼が差し出したものは――
十カラットのダイヤモンドの指輪だった。