名家を追われた妻が財閥次男に嫁いだら、彼には十年間隠し続けた想い人がいた
Evil Purple Cat
恋愛現代恋愛
2026年07月29日
公開日
2.8万字
連載中
「あなたが信じていた愛は――彼が十年かけて仕組んだ計画だったのかもしれない」
神崎柚香は、幼い頃から未来の財閥後継者の婚約者になるために育てられてきた。
誰もが羨む立場。
そう思っていた。
けれど、ある日突然――
婚約者は別の女性を選び、彼女からすべてを奪った。
そして柚香に与えられたのは、家族の中で最も期待されていなかった次男・藤原凛との結婚だった。
結婚式の日。
祝福の言葉は一つもなかった。
そこにあったのは、まるで見世物を見るような視線だけ。
柚香は静かにその結婚を受け入れた。
妻として礼儀を守り、
人前で取り乱すこともなく、
完璧な笑顔を保ち続けた。
それでも、何度も胸の奥に飲み込んだ。
「身代わり」
その言葉がもたらす痛みを。
藤原凛は、いつも彼女に対して礼儀正しく、どこか距離を置いていた。
けれど、その視線が追う先には――いつも別の女性がいた。
「気にしてはいけない」
そう自分に言い聞かせていた柚香。
しかし、ある日。
彼女は二人が密かに会っている場面を目撃してしまう。
それでも、もう立ち止まらなかった。
柚香は自分自身の力で、人生を変え始めた。
一度のビジネス交渉では、圧倒的な判断力でその場にいた全員を納得させた。
災害支援の指揮では、完璧な采配で多くの称賛を得た。
かつて「価値のない身代わり」と呼ばれた女性は――
いつしか、
「藤原家が決して手放せない最高の妻」
になっていた。
一方。
かつて彼女の婚約を奪った男は、汚職事件に巻き込まれ、少しずつすべてを失っていった。
そして――
取締役会で起きた、あの誘拐事件。
誰もが思った。
彼は命懸けで、愛する女性を助けるのだと。
けれど。
彼は一度も振り返らなかった。
そして、自らの実の兄を追い詰めた。
その瞬間。
すべての真実が明らかになる。
彼女が“心から愛する女性”だと思っていた存在。
それは最初から最後まで――
藤原凛が十年かけて仕組んだ、ただ一つの計画だった。