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貧乏なふりをしていた彼が婚約者に500万円のブレスレットを贈っていた――別れた後、私は彼が決して逆らえない存在になった
貧乏なふりをしていた彼が婚約者に500万円のブレスレットを贈っていた――別れた後、私は彼が決して逆らえない存在になった
バイオファー
恋愛現代恋愛
2026年07月29日
公開日
2.6万字
連載中
小林汐里は、東京で本物の恋を見つけたと思っていた。 恋人の御厨光希は、優しくて気遣いのできる人だった。 ただ一つの欠点は―― 彼の家庭環境が、ごく普通だったこと。 だから汐里は、彼に無理をさせなかった。 誕生日にもらった1980円のトルコキキョウの花束を見て、彼女は笑った。 「すごく綺麗」 本心からそう言った。 ――彼の本当の姿を知るまでは。 その“貧しい恋人”には、名家出身の婚約者がいた。 名前は、高梨郁美。 彼が婚約者の誕生日に贈ったもの。 それは―― 540万円の翡翠のブレスレットだった。 一方で、汐里の祖母が危篤になり、140万円の手術費が必要だったあの深夜。 彼は電話越しに言った。 「俺には、お金がない」 そして電話を切った。 その背後から聞こえたのは―― グラスが触れ合う音。 そして、女性たちの笑い声。 祖母は亡くなった。 汐里は、御厨光希の番号を静かにブラックリストへ入れた。 そして、ロンドン行きの飛行機に乗った。 五年後。 ロンドンのアパートの前で、彼女は再び光希と出会った。 彼は婚約を破棄していた。 酒に酔い、赤くなった目で、すべてを打ち明けた。 幼少期の傷。 母親に裏切られた過去。 そして、貧しいふりをしていた理由。 彼は思っていた。 すべてを話せば、きっと許してもらえると。 けれど彼は知らなかった。 もう、あの頃の汐里ではないことを。 彼を想うあまり、一輪の花を買うことすら我慢していた少女は、もうどこにもいなかった。 汐里は、彼が送ってきた補償金を受け取った。 それは、かつて彼が自分に使った金額の何倍もの金額だった。 そして―― 彼の連絡先を削除した。 その後、彼女は一軒の花屋へ入った。 そこで買ったのは、昔は買うことをためらった花。 ストロベリーアーモンドのような甘い香りを持つ、小さなブーケ。 今度は―― 誰かのためではなく。 自分自身へ贈るために。

第1話 買ったらおにぎりしか食べられない

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