妊娠がわかった日、扉の向こうで夫が認めた――私と結婚したのは、父を轢き殺した女を守るためだった
ななん
恋愛現代恋愛
2026年07月30日
公開日
4.6万字
完結済
妊娠六週目だとわかった日、大葉貴美は検査結果を手に夫を訪ねた。だが扉の向こうから聞こえてきたのは、八年前に父を轢き殺した真犯人が藤崎綾香だという告白だった。
夫の信秋はホテルの従業員を身代わりに仕立て、事故唯一の生存者である貴美を監視するために彼女と結婚したのだ。
クルーズ船では、信秋は綾香だけを助け、海へ落ちた貴美は流産した。花の装飾台が崩れ落ちたときも、彼は綾香の無実を信じ、貴美の容体より結婚式を続けられるかどうかを気にかけた。
貴美は証拠を持って彼の前から姿を消す。
水城景人は、八年前に撮影した結婚式の写真から事件の重要な時間軸を突き止めた。信秋が花屋へ押しかけたときには彼の前に立ちはだかりながらも、会うかどうか、罪を追及するかどうか、その選択はすべて貴美自身に委ねた。
やがて貴美は川井姓を取り戻し、父が遺した花屋に再び明かりをともす。
そして、自ら景人の手を握った。
「家に帰りましょう」