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姉の代わりに噂の冷酷な悪魔へ嫁いだ私――姉が戻った日、彼は跪いて「行かないで」と縋った
姉の代わりに噂の冷酷な悪魔へ嫁いだ私――姉が戻った日、彼は跪いて「行かないで」と縋った
Roll Bunny
恋愛現代恋愛
2026年07月31日
公開日
2.1万字
連載中
結婚して十年。浅井幸奈は、ずっと“身代わり”だった。 十年前。 実の両親に無理やり車へ乗せられ、逃げた姉の代わりに嫁いだ相手。 それが―― 悪魔のように冷酷だと噂される男、榊静臣だった。 初夜の日。 静臣は幸奈のベールを上げた。 けれど彼女を一目見ただけで、何も言わずに背を向け、ソファで眠った。 それから十年。 彼は一度も自分から彼女の手を握らなかった。 優しい言葉をかけたことも、一度もなかった。 幸奈が着ていた白無垢は、もともと姉のために仕立てられたものだった。 腰回りは二寸も大きく、彼女は仕方なくピンで留めて着ていた。 自分のものではない家で暮らし。 自分のものではない家事をこなし。 自分のものではない子どもを育ててきた。 ――そんなある日。 姉・真由美が帰ってきた。 高級ブランドを身にまとい、幸奈の前で微笑む。 「私はただ、私のものを取り戻しに来ただけ」 「私の夫」 「私の息子」 「私の家」 そう告げた。 幸奈は家庭裁判所に訴えられ、子どもを失う危機に直面する。 社交界では、 「鳩が巣を乗っ取った」 そんな噂まで広がった。 夫人たちから距離を置かれ、陰で指を差される日々。 幸奈は思っていた。 自分の人生は、きっとこういうものなのだと。 ただの身代わり。 役目を終えれば、捨てられる存在。 ――けれど。 彼女には、もう一つの顔があった。 世界的に知られる名画修復師。 誰も無視することのできない、その道の第一人者。 真由美が戻ってきた? ……ごめんなさい。 あなたが欲しがったものは、もう全部私のもの。 あなたの権力も。 あなたの地位も。 あなたの子どもも。 あなたの夫も―― すべて。 ある深夜。 幸奈が扉を開けると、そこにはあの高みの存在だった男がいた。 榊静臣。 いつも冷静で、誰にも屈しなかった男が。 彼女の前で跪いていた。 赤く潤んだ瞳。 震える声。 「行かないで……」 「俺と、息子を……もう一度、愛してくれ」

第1話 もう返してもらうわよ

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