五人の財閥御曹司の替え玉彼女がバレた日、私は彼ら全員が愛していた本当の相手を知った
エビいただき
恋愛現代恋愛
2026年08月04日
公開日
2.7万字
連載中
柊木彩葉、二十七歳。
職業――偽装恋人。
彼女の仕事は、とても単純だった。
同時に五人のエリート男性へ“恋人サービス”を提供すること。
相手が必要とする時は、優しくて気遣いのできる理想の彼女を演じる。
そして関係が終わる時には、高額な別れ金を受け取る。
つまり――
彼らが心の中で忘れられない元恋人の代わりになるか。
それとも、ただ夜を共にする相手になるか。
彩葉は、自分こそ世界で一番演技が上手い女だと思っていた。
――五人の依頼主の怒りに囲まれ、同じ部屋へ閉じ込められるまでは。
彼女は数々の嘘を重ねてきた。
元夫を騙すため、胃がんの偽診断書を作り、五百万円を手に入れた。
医師から献血を求められた時は、血液パックまで用意して乗り切った。
パーティー会場で恋敵に酒をかけられた時は、わざとマンゴーを食べてアレルギーを起こし、顔をパンパンに腫らした。
すべては――
正体を見破られないため。
完璧に隠せている。
そう思っていた。
あの夜のパーティーまでは。
五人の依頼主が、同じ場所に集まった。
そして――
彼女の腫れは、もう完全に引いていた。
五人の男たちは彩葉の前に立ち、面白そうに笑う。
「俺たち全員に、責任を取ってもらおうか」
彩葉は追い詰められた。
そして最後の切り札を出した。
「……もし私に、四人の双子の妹がいるって言ったら?」
「信じてくれる?」
「……は?」
当然、誰も信じなかった。
---
正体を暴かれた。
軟禁された。
ネットでは「職業詐欺女」と呼ばれ、大炎上。
さらに彼の取締役会からは、
「彼女か、会社か」
究極の選択を迫られた。
彩葉は思った。
今度こそ、本当に終わったのだと。
けれど――
最初から最後まで、彼女のすべての嘘を見抜いていた一人の男がいた。
彼は何も責めなかった。
ただ、彼女の手にダイヤモンドの指輪を握らせる。
そして、静かに言った。
「選ぶのは君だ」
「……いや」
「俺は最初から、君を選ぶ以外に迷ったことなんて一秒もない」