八歳の冬、肉を一切れ食べただけで養母に捨てられた私――だが私を拾ったのは、世界一の富豪で私を探し続けていた実の父だった
ひかね
恋愛現代恋愛
2026年08月05日
公開日
3.3万字
連載中
八歳の冬。
私は、すき焼きの肉を一切れ取っただけだった。
それなのに養母は、私の頬が腫れるほど殴り、髪を掴んで氷点下十度の吹雪の中へ放り出した。
底の破れた古い靴を履いたまま、私は震える体を抱え、道端のゴミ箱の中で夜を越そうとした。
凍えた指で寒さをしのげるものを探していた時――。
私は一枚の尋ね人のチラシを見つけた。
そこに写っていた少女は、私と同じ誕生日。
右腕の内側にある楓の葉の形をしたあざまで、まったく同じだった。
二ヶ月かけて貯めた百円玉。
本当は新しい消しゴムを買うために大切にしていたお金。
私はそれを握りしめ、チラシに書かれた番号へ電話をかけた。
電話の向こうから聞こえたのは、知らない男性の声だった。
「必ず迎えに行く」
その一言が、私の人生を変えることになるとは――。
私はまだ知らなかった。
捨てられたと思っていた自分が、実はずっと誰かに探されていたことを。
そして、その人こそが、日本一の大富豪として名を知られる私の実の父だったことを。