元彼にカードを止められた私――彼の親友から三百億円の島を贈られ、彼には二度と手の届かないお金好きの奥様になりました
走るハム将軍
恋愛現代恋愛
2026年08月10日
公開日
2.3万字
連載中
星野夢子は、お金が好きだった。
そして、そのことを隠したことは一度もない。
恋人だった神谷悠真は、以前彼女の手に家族カードを渡し、笑いながら言った。
「神谷家のお金なら、好きなだけ使えばいい」
夢子は信じていた。
彼は、自分の価値観を理解してくれているのだと。
しかし――。
彼女が一千万円のバッグを購入した日。
悠真は冷たい目で彼女を見下ろした。
「君は、お金を使うこと以外に何ができるの?」
その言葉と同時に、カードは停止された。
別れも、彼の一方的な判断だった。
さらに夢子は、ドアの向こうから聞こえた会話を聞いてしまう。
「一ヶ月もカードを止めれば、あいつは泣いて戻ってくる」
「金がなければ、俺から離れられないだろ」
けれど――。
夢子は泣かなかった。
彼女は家族カードを切り裂き、豪邸を出た。
持ち出したのは、自分自身で手に入れたものと、古びた荷物二箱だけ。
もう誰かの財布に守られる人生はいらない。
そう決めた時。
彼女の前に現れたのは、神谷悠真の友人だった九条蓮司。
いつも人の輪の外で静かにしていた男は、少し皺のついた一通の手紙を差し出した。
そこには、不器用な告白が書かれていた。
「お金が一番でも構わない」
「俺は二番目でいいから」
その後、夢子のもとには三百億円の島が贈られる。
かつて彼女を「金目当ての女」と見下した男は、ようやく気づく。
彼女が欲しかったのは、誰かのお金ではない。
自分を否定せず、ありのまま愛してくれる相手だったのだと。