新婚の夜、彼は私の首を掴んで「お前は誰だ」と問い詰めた――四年後、彼は私の足元に跪き「行かないでくれ」と縋った
風風クロワッサン
恋愛現代恋愛
2026年08月13日
公開日
2.3万字
連載中
新婚の夜。
依里は、恐ろしい秘密に気づいてしまった。
自分が嫁いだ男は――
鞍馬寺の激しい雨の中で、かつて自分が救ったあの人ではなかった。
あの人は、依里がこれまで見た誰よりも美しい男だった。
息を呑むほど整った顔立ちで、どうしようもなく魅力的で。
だから依里は、深く考える間もなく、彼と一夜を共にしてしまった。
その後、彼は言った。
「必ず君を迎えに行く」
そして依里は、確かに自分を迎えに来た男と結婚した。
けれど――
その男は、彼ではなかった。
三年間。
依里は夫・渡に、豪邸の片隅で冷たく放置されてきた。
まるで美しい置物のように。
渡は彼女に子どもを望みながら、裏では密かに妊娠を避ける薬を飲んでいた。
それでも依里に息子・優斗を産ませると、今度はその子を鎖のように使い、彼女の逃げ道を塞いだ。
どこにも行けないように。
誰のもとへも戻れないように。
そんなある日。
渡とまったく同じ顔をした男――透が、依里の前に現れる。
彼は渡の双子の弟だった。
そして。
依里が本当に救った、あの雨の日の男だった。
本当の救命恩人。
本当の約束の相手。
本当なら、彼女が結ばれるはずだった人。
一つは、無理やり繋ぎ止められた結婚。
もう一つは、四年越しにすれ違った真実の恋。
すべての真相が明らかになった時、依里は気づいてしまう。
自分がいつの間にか、二人の男が生み出す渦の中へ深く沈んでいたことに。
そして、もっと恐ろしいことに――
彼女はこの双子の兄弟、そのどちらに対しても、
抱いてはいけない感情を抱き始めていた。