私を籠の鳥扱いした彼氏に「貧乏くさい」と見下されたので、実家に帰って財産を継ぎ、ついでに婚約者を連れてきました
イカバーガー
恋愛現代恋愛
2026年08月14日
公開日
2万字
連載中
牧明香が人生で一番後悔していること。
それは、記念日の日に、二か月分のアルバイト代を節約して買った万年筆を持って、西沢宏樹に会いにクラブへ行ったことだった。
そして彼女は、個室の扉の外で聞いてしまう。
彼が友人たちに、こう言っているのを。
「結婚? 家柄が釣り合わないだろ」
「まあ、そばに置いておく分には悪くないけどな」
明香は万年筆を置いた。
そのまま振り返り、彼の連絡先をすべてブロックした。
その後、彼女は入江和久と出会う。
彼は、明香が絵を描いている時、静かに後ろで見守ってくれた。
彼女のために展覧会の知識を一から学び、
彼女が「個展を開きたい」と口にした翌日には、もう会場を用意してくれていた。
彼は言った。
「君の絵を見た日から、ずっと君に会いたかった」
そして、さらに後。
個展の初日、西沢宏樹が現れた。
彼は明香の絵の前に立ち、作者紹介に書かれた一文を見た。
「牧明香。牧野グループ代表・牧野隆一の長女。」
そこで初めて、彼は知る。
自分が「家柄が釣り合わない」と見下した貧乏学生は――
本当は、彼が一生かかっても手の届かない相手だったのだと。