エメリ
恋愛現代恋愛
2026年08月17日
公開日
11.1万字
連載中
徹也はプロポーズした翌日、別れを切り出した。
「咲子が妊娠した。俺が責任を取らなきゃならない」
有花は手首を切った。浴槽が真っ赤に染まるほど、血を流した。
それでも彼は、冷たく言い放った。
「死にたいなら、勝手に死ねばいい」
そして、四年後。
再会した有花は、救急科の医師になっていた。その瞳に映るのはメスだけ。
一方、徹也は機長になっていた。かつての面影などないほど、有花の前では卑屈になる。
有花が新しい人生を歩み出そうとするたび、決まって徹也が現れる。
最年少で機長になった男は、元恋人への執着から、少しずつ理性を失っていき――。
有花は、今にも彼を蹴り飛ばしたい衝動に駆られた。
「妻も子供もいるくせに、今さら一途な男ぶって何なの?」
いつも冷静沈着な機長が、その瞬間ばかりは取り乱した。
「結婚してない。籍も入れてない。DNA鑑定書もある。……一度でいいから、見てくれ」
そして、四年前の真実が、ひとつ、またひとつと明らかになっていく。
「だから何?私にとって元カレなんて、死んだのと同じよ」
「だったら、もう一度君を口説く」
「それでも順番待ちよ」