極道若様に買われた花嫁は、今日も逃亡中 ~婚約者に売られたはずなのに、なぜか溺愛されています~
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恋愛S彼・俺様
2026年08月21日
公開日
1.1万字
連載中
結婚式まで、あと三日。
私は婚約者・江藤澄江(えとう すみえ)に、一千万ドルで売られた。
行き先は、東南アジアにある詐欺組織の拠点。
目を覚ました時、私は薄いチュールドレスを着せられ、鉄の檻の中に閉じ込められていた。
頭上から降り注ぐスポットライト。
客席には、仮面をつけた富豪たちが並んでいる。
そして、最高額で私を買った男――
黒瀬悟(くろせ さとる)。
アジア最大級の極道組織、その若様。
人を殺すことに一切のためらいがない。
感情の起伏が激しく、危険な男だという噂もある。
それなのに――彼は極度の潔癖症で、これまで女には一切興味を示さなかった。
そんな男が、私を檻から連れ出した。
そして、城の奥にある寝室へと連れていく。
「白石澪(しらいし みお)。お前が逃げるなら、俺が必ず捕まえる。」
私は彼を憎んだ。
私を閉じ込めたこと。
私から自由を奪ったこと。
そして、何度も理性を失う夜の中で、心より先に身体が彼を求めてしまう自分自身を。
だが、逃げ帰った私を待っていたのは――
私を売った江藤澄江が、その金で人生を立て直し、妊娠した愛人を抱えながら、ネット上で「妻を探す愛の物語」を演じている姿だった。
その時、黒瀬悟は私に告げた。
「復讐したいなら、力を貸す」
「ただし、条件がある」
「お前という存在も」
「お前の命も」
「これからのすべてを――俺に預けろ」
私は契約した。
復讐のために。
けれど、彼の子を宿した時、一人の女が現れた。
そして私は気づく。
いつの間にか、自分が最も憎んでいた存在になっていたことに。
だから、私はもう一度逃げた。
もう二度と、彼に会わないつもりだった。
――そのはずだった。
血まみれになった黒瀬悟が、私の前に現れる。
「澪、婚約は破棄した」
「今、すべての敵が俺の命を狙っている」
「だが、死ぬことなんて怖くない」
「俺は何もいらない」
「欲しいのは――お前だけだ」
籠の中の鳥のように私を閉じ込めた悪魔が
今度は赤く潤んだ瞳で跪き、私に縋ってくる。
これは救いなのか。
それとも――
さらに深い、愛という名の奈落なのか。