婚約破棄された私、「不能」な財閥当主に甘く溺愛されています!
クネル
恋愛現代恋愛
2026年08月28日
公開日
3.9万字
連載中
本物の令嬢が帰ってきたその日から、偽物だった美羽奈は、まるで目障りな蚊のように家族から疎まれる存在になった。
このままでは、自分の居場所などどこにもない。
そう悟った美羽奈が目をつけたのは――誰もが恐れる、冷酷で危険な男・桐生晃生だった。
「私と結婚してください」
美羽奈は全財産を差し出し、晃生の前に立った。
「一年だけでいいんです」
断られる覚悟は、とっくにできていた。
ところが――
「いいだろう」
桐生晃生は、あっさりとその申し出を受け入れた。
結婚生活は一年間。
互いに欲しいものを手に入れるだけの、期限付きの契約結婚。
偽物の令嬢が、よりにもよって桐生晃生の妻になった――。
その知らせに、周囲は騒然となった。
誰もが、美羽奈がいつ捨てられるのかと面白半分に見守っていた。
けれど――。
結婚から三か月。
晃生は自分のカードを美羽奈に渡し、彼女はたった一日で数千万円を使った。
それでも、彼は眉ひとつ動かさない。
半年後。
人前で美羽奈が晃生を怒鳴りつける姿が目撃された。
今度こそ彼女も終わりだ――。
誰もがそう思ったのに、晃生は怒るどころか、美羽奈の前では驚くほど低姿勢になり、ひたすら彼女の機嫌を取っていた。
そして、一年後。
晃生は美羽奈の腹にそっと手を添え、低い声で尋ねた。
「それでも、まだ離婚するつもりか?」
美羽奈は唇を噛みしめる。
「……する。離婚するから」
すると晃生は、余裕たっぷりに薄く笑った。
「――甘いな。そうはさせない」