結婚前夜、婚約者は元カノを選んだ――婚約破棄した私は、三年間私を想い続けた心臓外科教授の家へ移った
Shachiku Yousei
恋愛現代恋愛
2026年08月27日
公開日
2.7万字
連載中
結婚式の前夜。
彼の元恋人が、笑いながら尋ねた。
「もし私が結婚式に乗り込んだら、あなたは私について来る?」
彼は迷うことなく答えた。
「行くよ」
その言葉を聞いた瞬間、私はすべてを理解した。
私は静かにドアを開け、廊下へ出た。
泣き崩れる代わりに、友人へ電話をかけた。
そしてその夜、私は彼女の家に泊まり――。
翌日、結婚を取り消した。
そんな私を迎えてくれたのは、同じ病院で働く心臓外科教授だった。
彼は私に自分の部屋を貸し、元婚約者からの連絡や嫌がらせをすべて遮ってくれた。
私は聞いた。
「どうして、ここまでしてくれるんですか?」
すると彼は、引き出しの奥から一枚の紙を取り出した。
そこにあったのは、三年前の私の麻酔記録。
彼は静かに言った。
「その手術の日、僕は君の声を覚えた」
「それから三年間、君が誰かを愛している姿を見ていた」
私は知らなかった。
あの日、命を預けた患者としてではなく。
彼にとって私は、ずっと忘れられない存在になっていたことを。
婚約を破棄した瞬間。
彼は初めて、私を追うことを選んだ。
そして、元婚約者が涙ながらに「戻ってきてほしい」と跪いた時。
彼は私の隣で、静かに告げた。
「君が頼む相手を、間違えている」
私はもう、選ばれるだけの女ではない。
今度は――私が、本当に大切にしてくれる人を選ぶ番だった。