親友に映画の悪役へ仕立てられ、婚約者には彼女を許せと言われた私。もう我慢せず、大富豪の父を頼ることにしました
End
恋愛現代恋愛
2026年08月27日
公開日
2.2万字
連載中
親友が書いた小説が映画化された日。
竹本可奈は、恋人と家族を連れて応援に駆けつけた。
その恋愛映画は、男女の主人公が幼い頃の一目惚れから始まり、やがて誤解や因縁、愛憎に巻き込まれていく物語だった。
上映が終わった後、可奈は親友を抱きしめながら涙を流し、映画の中に登場した悪役――主人公たちの恋を邪魔する“性格の悪い親友役”について、怒りながら文句を言った。
すると、親友の身体がぴたりと固まった。
恋人の表情も、どこか気まずそうだった。
可奈がトイレから戻ってくると、そこには母親が彼女の手を握り、涙を流しながら言う姿があった。
「詩織……あなた、本当に辛かったわね」
弟は悔しそうな顔で言った。
「詩織姉さんは優しすぎるんだよ! 本当は中学生の頃から清昭兄さんと両想いだったのに! それなのに今は……」
最後まで言い終わる前に、清昭が彼の言葉を遮った。
「可奈は一応、お前の実の姉なんだ。そんな言い方をするな」
清昭は一瞬黙った後、詩織を抱きしめた。
その表情には、隠しきれない愛しさが浮かんでいた。
「詩織、もう少しだけ時間をくれ」
「君と……俺たちの生まれてくる子どもに、必ず答えを出す」
つまり、可奈が先ほどまで必死に悪く言っていた“親友”は――
他でもない、自分自身だった。
結婚前夜。
可奈は清昭の金庫の中で、一通の遺書を見つけた。
そこにはこう書かれていた。
「もし私が死んだら、私たちが初めてキスをした場所に遺灰を撒いてください」
「詩織」
そして遺書の下には、一枚の写真が挟まれていた。
写真の中の少女は、清昭とお揃いの浴衣を着て、彼の胸に寄り添いながら、幸せそうに笑っていた。
その少女は――詩織だった。
そして、彼女の大富豪の父親が帰ってきた時。
父は皆の前で、彼女を傷つけたすべての人間に痛烈な反撃を浴びせた。
その瞬間、可奈は初めて知った。
この人生でようやく――
自分を守ってくれる人がいるのだと。