私を愛しているくせに、パフューマーの夫は離婚を選んだ~探し求めた香りは、君の中に~
ゆかりん
恋愛現代恋愛
2026年09月02日
公開日
18.3万字
連載中
「君から、もう俺の好きだった香りがしない」
それが、調香師の夫・伊織が清花に離婚を告げた理由だった。
三年前、清花が伊織と結婚したとき、誰もが口をそろえて言った。
――前世でどれほど徳を積めば、こんな幸せな結婚ができるのだろう、と。
けれど、その結婚の実情を知っていたのは清花だけだった。
愛のために仕事を諦め、自分自身さえ手放し、伊織だけを中心に生きてきた三年間。
その結婚生活が彼女にもたらしたものは、家事に追われるだけの日々と、心に刻まれた傷だけだった。
だから、離婚はきっといいことなのだ。
清花は伊織と別れた。
これで、二人とも自由になった。
もう二度と振り返らない。
伊織との縁は、あの日をもってすべて断ち切った。
これから先、たとえ再び向き合うことがあっても、二人が相容れることは決してない――。