目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
身代わり元妻の華麗なる逆襲――貧乏なふりして苦労させた最低元夫を捨てたら、冷徹な上司が守ってくれた
身代わり元妻の華麗なる逆襲――貧乏なふりして苦労させた最低元夫を捨てたら、冷徹な上司が守ってくれた
エサやり禁止
恋愛結婚生活
2026年08月31日
公開日
3.2万字
連載中
新倉晴絵は、三年間「畔上夫人」として暮らしてきた。 それなのに、一度も夫の実家へ連れて行かれたことはなかった。 真実を知ったのは、ある夜のことだった。 何気なく動画を見ていると、高級オークション会場に夫の姿が映っていた。 惜しげもなく大金を使い、その隣には美しい女性を抱き寄せている。 動画の投稿者は笑いながら言った。 「このオークションは資産一億円以上じゃないと参加できません。これが、お金持ちと庶民の世界の違いです」 ――お金持ち? でも晴絵は覚えている。 夫は「もったいない」と言って、五百円のコンドームすら買おうとせず、百円のアフターピルを飲ませて済ませようとした人だった。 あの日。 夫・畔上佑輔がベランダで電話をしながら、声を潜めて言った。 「確かに少し似てる。でも、所詮は身代わりだから」 晴絵は浴室の床にしゃがみ込み、口を押さえて息を殺した。 涙がタイルに落ち、小さな染みになって広がっていく。 三年間。 彼は母親の治療費を盾にして、晴絵を自分のそばへ縛りつけていた。 別の女性には八千八百八十八万円のプラチナバッグを贈る一方で、晴絵は値引きされた生理用品一つ買うのにも、何度も迷わなければならなかった。 彼女は、それが結婚というものなのだと思い込んでいた。 だが後日、夫の祖父の長寿祝いの席で。 晴絵は一番質素な着物を身にまとい、大勢の招待客が見守る中、静かに離婚届を差し出した。 あの平手打ちが響いた瞬間。 彼女が打ちたかったのは夫だけではない。 三年間、自分を押し殺し続けてきた―― あの日までの自分自身だった。

第1話 貧乏な夫、高級クラブにて

loading