結婚直前、婚約破棄され親友と結婚された私――三年後、妊娠した彼女が罠を張ると、夫が平手打ち
抹茶リンゴ
恋愛現代恋愛
2026年09月01日
公開日
2.3万字
連載中
三年前。
汐見未羽と桐生蒼一朗は、警察関係者の間で誰もが認める理想のカップルだった。
そして三年後。
犯罪心理プロファイラーとして特別招集された未羽は、トップクラスの法医学者となった彼と、再び同じ事件捜査チームで顔を合わせることになる。
廊下で、彼は未羽を問い詰めた。
「あの時、なぜ何も言わずに消えたんだ」
未羽は彼の左手薬指に光る結婚指輪を見て、冷たく笑った。
「何?」
「まさか私に残って、笑顔であなたと私の親友の結婚式に出ろって言いたかったの?」
白無垢の試着をした日。
桐生蒼一朗から一本の電話がかかってきた。
告げられた言葉は、たった五文字。
「別れよう」
理由もない。
説明もない。
それから一か月もしないうちに、彼は私の親友・姫川紗英との結婚を大々的に発表した。
三年後。
私は犯罪心理のプロファイリング担当として、東京へ戻ってきた。
街中で暴走した車が私へ突っ込んできた時。
彼が庇ったのは――
妊娠中の妻だった。
私は左腕を骨折し、額から血を流しながら、冷たい風の中で一人座っていた。
その目の前で、彼は彼女を抱きかかえ、病院へ駆け込んでいった。
同窓会の日。
姫川は私の目の前で階段から転げ落ちた。
彼は大勢の前で警察へ通報した。
私は取り調べ室へ入れられた。
彼女はリストカットをし、遺書を残し、私が彼女の結婚生活を壊したのだと訴えた。
世間中が、私を「略奪女」として責め立てた。
十二時間後。
取り調べ室の扉が蹴り開けられた。
入ってきた男は、落ち着いた声で告げた。
「私は警視庁捜査一課の課長です」
「そして、汐見未羽の婚約者です」
鷹宮和明が持ってきたのは、
私の無実を証明する鑑定報告書。
そして、彼女を刑務所へ送るためのすべての証拠だった。
一年後の春。
私は恩師が残してくれた淡い桜色の着物を身にまとい、蒼海市の海辺で言った。
「はい」
「私は、あなたと共に生きます」
散る花は、過ぎ去った春を待ってはくれない。
けれど――
春はいつだって、変わらず訪れる。