前世は悪役令嬢、捨てられ犯罪者になった私――今世は財閥を捨て、青森の両親を選んだら東大に受かった
Maitsuki taihen
恋愛現代恋愛
2026年09月02日
公開日
4万字
連載中
前世の私は、悪役令嬢だった。
ネックレスを盗んだことで養子縁組を解消され、最後には犯罪者になった。
物語の中では、こう書かれていた。
「育てても無駄」
「自業自得」
「生まれつきの悪女」
そして今世。
養子縁組の日、窓の外には私を迎えに来た財閥の車が止まっていた。
本来なら、私はその車に乗って、また同じ結末を迎えるはずだった。
けれど私は、その後ろから遅れてやって来た夫婦の腕の中へ飛び込んだ。
二人は古い車に乗っていて、方言も強い。
「少々」が何グラムなのかさえ、よく分からない。
私は思った。
――私、終わったかもしれない。
ところが、ある日。
私はお金を盗んだと濡れ衣を着せられた。
父は私の前にしゃがみ込み、静かに尋ねた。
「怖いか?」
「家に帰れなくなるのが、そんなに怖いか?」
いじめを受けた時には、父と母が証拠をすべて集め、記者会見のテーブルに並べた。
そして――
東京大学に合格した日。
二人は校門の前で、私と一緒に家族写真を撮った。
「うちの子は、本当に最高の子だ」
前世の私は、「育てても無駄な悪女」だった。
今世の私は――
財閥ではなく、この二人を選んだ。
そして初めて知った。
家族とは、血筋でも、お金でもない。
「帰ってきていい」と言ってくれる人のことなのだ。