バオバオ
恋愛現代恋愛
2026年09月15日
公開日
12.1万字
連載中
婚姻届を提出したその日、如月理玖は宮本結菜に冷たく言い放った。
「俺たちは、お互いに必要なものを得るだけの関係だ。必要がない限り、連絡するな」
愛情など存在しない、条件だけで結ばれた結婚。
結菜もその言葉を気にすることなく、むしろ自由気ままに彼を翻弄していく。
しかし、ある夜――。
仕事の付き合いで帰宅が遅くなった理玖を待っていたのは、暗い部屋と静かに眠る結菜だった。
自分が帰ってきたことにも気づかず、何の関心も示さない彼女。
その瞬間、理玖の胸に理由の分からない苛立ちが湧き上がる。
ネクタイを外し、彼女を腕の中へ引き寄せる。
「結菜、俺の名前を呼べ」
突然見せた独占欲に、結菜は戸惑いながらも顔を赤らめる。
「理玖さま……私たちはただの協力関係でしょう?」
そう告げる彼女に、理玖は低い声で答える。
「協力関係には、心も身体も含まれる」
互いに利用し合うだけのはずだった。
愛など必要ないと思っていた。
なのに――。
いつの間にか、冷徹だった男の心を奪ったのは、彼の妻となった唯一の女性だった。