ZR-Beyond
現代ファンタジー現代ダンジョン
2026年09月14日
公開日
6,693字
連載中
百年前、日本は未曾有の災厄――「黒降(こくこう)」に襲われた。空は黒く染まり、巨大な異形の存在がこの国へと降り立ち、数え切れない異変と怪物が現れ、甚大な被害と数え切れない犠牲を生み出した。その災厄の最中、一人の謎の少女が現れ、数百万人もの人々を救い、崩壊した現実を修復し、あの黒い異形を封じた。少女は姿を消したが、異変は残り続けた。
それから百年。人類は異変と共存することを学び、特殊な力――《シグナ》に目覚めた者たちは、人々の命を脅かす異変や怪物と戦う存在となっていた。そして社会には、彼らを育成する学園や、人々を守るための様々な組織が設立されている。
天原暁継は、その中の一人ではない。
彼には《シグナ》がなく、特別な力もない。そして、英雄になりたいという願いもなかった。父が家族を捨てて姿を消した後、母は暁継と妹を支えるため、家族の生活を守るために、懸命に働き続けてきた。そんな母を支え、家族を守り、いつか母がしてくれたすべてに報いたい。それが暁継の望みだった。
だが、彼には家族を守ることのできないものが一つだけある。
異変。
普通の人間には戦うことのできない、唯一の脅威。
そしてある日、その異変が自分にとって最も大切な人たちへと迫った時、暁継は、自分がずっと知っていた現実と向き合うことになる――最も守りたい人が危険に晒された時、《シグナ》を持たない人間に、一体何ができるのか。
その日、すべてが変わる。
無力な少年。百年前の災厄によって形作られた世界。そして、過去と、今まさに目覚めようとしている彼の力を繋ぐ謎。
何もできない自分が、ただ守りたかった日常を、唯一脅かすもの。それに立ち向かうことになった時、少年の物語が始まる。