今さら愛していると言われても~ スピード婚から三年、 愛されなかった私はもう戻らない~
長川
恋愛現代恋愛
2026年10月10日
公開日
4.7万字
連載中
電撃結婚から三年。
透子はずっと信じていた。佳祐が冷たく見えるのは、感情を表に出さない人だから。口にはしなくても、自分を深く愛してくれているのだと。
けれど、帰国した彼を、見知らぬ子どもが「パパ」と呼んだ。
その一言で、信じていた三年間が崩れ落ちた。
自分はずっと、裏切られていたのだ。
十年、彼だけを愛してきた。
三年、彼の帰りを待ち続けた。
その果てに耳にしたのは、あまりにも冷たい言葉だった。
「あの時は、彼女と結婚するのが一番よかった。それだけだ。愛情なんてない」
透子は、離婚を告げた。
けれど佳祐も、周囲の誰もが、彼女の決意を本気にはしなかった。
少し拗ねているだけ。そのうち、おとなしく戻ってくる――そう思っていた。
「俺と別れて、あいつに行く場所なんてあるのか?」
ところが、透子は彼の前から忽然と姿を消した。
連絡も消息も、ぷつりと途絶えた。
やがて、佳祐が狂ったように自分を捜し回っていると聞いた。
まさか。
あれほど誇り高く、いつも冷静だった人が、自分のような取るに足らない女のために、我を忘れるはずがない。
そう思っていた。
まばゆいほどの輝きをまとい、再び彼の前に姿を現す、その日までは。
目を真っ赤にした佳祐が、透子を見つめていた。
誰もが遠巻きに仰ぎ見る、若き実業家。
その彼が、衆人環視の中、彼女の前に片膝をついた。
「透子、もう気は済んだだろう? 俺と一緒に、家に帰ってくれないか?」
その瞬間、透子は悟った。
――佳祐は、本当に正気を失ってしまったのだ。