盲目の御曹司の愛人を3年続けて逃げた私。5年後、彼と息子に捕まり「夫と子を捨てた」と泣かれた
花曇 ひとむら
恋愛現代恋愛
2026年09月22日
公開日
3.3万字
連載中
水原葵は、嘘つきだった。
彼女は明原昭誠の元恋人になりすまし、三年間彼の世話をした。
そして、思いがけず彼との間に息子を授かり――
お金だけを受け取って、姿を消した。
五年後。
占いの屋台を出していた葵の前に、一人の五歳ほどの男の子が現れた。
「ねえ、おばさん」
「僕のお母さんがどこにいるか、占ってくれる?」
そこへ、かつて葵がなりすましていた本物の元恋人・芹沢美月が現れ、少年を連れて行こうとした。
けれど。
少年は彼女を「お母さん」と呼ばなかった。
そして葵を見つめ、一言ずつはっきりと言った。
「僕が探しているお母さんは、この人じゃない」
葵は顔を上げた。
――まずい。
この子……どうして私とこんなに似ているの?
誰もが思っていた。
明原昭誠は、きっと葵を憎んでいると。
三年間も彼を騙した。
子どもまで連れて姿を消した。
何も言わず、跡形もなく消えたのだから。
そんなある日。
葵の父親と弟が突然アパートへ押しかけてきた。
部屋をめちゃくちゃに荒らし、数百万円の借金を返せと迫る。
しかも、その借金は闇金からのものだった。
追い詰められた葵は、包丁を自分の首元へ当てた。
刃から血が伝い落ちる。
父親は後ずさる。
弟は震えて動けない。
その時。
外から足音が聞こえた。
ゆっくりと、扉が開く。
光の中に立っていたのは――
明原昭誠だった。