結婚式で元婚約者に皆の前で捨てられた私。財閥の実権を握る男に溺愛される妻となり、会社が倒産した彼は私に助けを求めてきた
冬木トウ
恋愛結婚生活
2026年10月12日
公開日
2.8万字
連載中
神前式の誓詞に署名し終えた直後、鷲尾瑛介はマイクを手に取った。
「ごめん。君とは結婚できない。俺が愛しているのは君じゃない」
綾辻星来は白無垢の裾を引きずりながら彼を追いかけ、袖をつかんだ。
「せめて、私と両親をここに置き去りにしないで」
彼は袖を引き抜いた。
「君に追いかけられると、ますます嫌いになる」
五年後、星来は娘を抱いて東京に戻ってきた。
鷲尾は、その子が自分の子どもだと思い込んでいた。だが、子どものパスポートに記されていた名前は「一条朝陽」だった。
鷲尾は昔の写真を使って、彼女の結婚生活を脅かそうとした。
そのとき、彼女の夫が星来の後ろに立った。
鷲尾が「この男は誰だ」と問い詰めると、男は一枚の書類を差し出した。
「鷲尾テクノロジーの買収を検討しています」
五年前、星来は彼を追いかけ、行かないでほしいと懇願した。
五年後、彼は段ボール箱を抱えて会社を去っていった。
会社の看板には、彼女の名前が掲げられていた。