夫が恩人を別の女と誤認?転生後はその結婚を見届け、日本一の一途な大富豪イケメン御曹司と幸せに!
Minto
恋愛現代恋愛
2026年10月16日
公開日
2.4万字
連載中
前世、桐谷夕凪は神宮寺朔也と結婚した。
けれど彼は、入籍した翌日に単身赴任でシンガポールへ渡り、何十年ものあいだ帰ってこなかった。
東京の都心にある高層マンションで、形ばかりの結婚生活を一人で守り続けた夕凪。
その果てに、死の間際の夫が残したのは、たった一言だった。
「俺の人生の後悔は、すべて、お前が結婚を押し通したあの日から始まった」
再び目を覚ますと、結婚相手の入れ替えを決めた、あの日に戻っていた。
「あなたは長女でしょう。我慢しなさい。家の恥になるようなことはしないで」
三女の美咲は、いかにも傷ついたような顔をしてみせる。
母はそんな妹ばかりをかばい、誰もが、夕凪が譲って当然だと思っていた。
夕凪は静かにうなずいた。
美咲に代わり、水無瀬家との縁談を受け入れると。
神宮寺朔也も、顧問弁護士を伴ってやってきた。
「桐谷さん」
そのよそよそしい呼び方も、話の進め方も、まるで彼女を、都合よく取り替えられる取引の駒としか見ていないようだった。
こうして夕凪の嫁ぎ先は、金沢の水無瀬家に決まった。
二百年近い歴史を持つ、金箔の老舗だった。
ところが初夜、新郎の水無瀬澄人は、彼女を美咲だと思い込んだまま、こう切り出した。
「好きな人がいるんです。夫婦としては、形だけの関係でお願いします」
夕凪はベールを外し、告げた。
「人違いです。私は桐谷家の長女、桐谷夕凪です」
その瞬間、澄人の耳がみるみる赤くなった。
前世では、なりふり構わず、あの婚約にしがみついた。
けれど今度こそ、自分の人生を大切に生きたい。
それなのに――。
やがて、かつての夫が後悔を抱えて金沢まで追ってきた。
夕凪の前に膝をつき、懇願する。
「澄人と離婚してくれ。もう一度、俺と結婚しよう」
夕凪は、ふっと笑った。
「神宮寺朔也さん。もう、ご自分の思い込みで私を振り回さないでください」
今世の彼女は、金沢の老舗に嫁いだ若奥様。
一人の人間として尊重され、大切にされ、不器用で一途な夫に、生涯愛される。