十年後から戻ってきた元カレに「お前は将来、俺の弟と浮気する」と言われた次の瞬間、その弟がうちのドアをノックしてきました
仄白
恋愛現代恋愛
2026年10月19日
公開日
2.2万字
連載中
水野苗は、久世彰と長く付き合い、同棲していた。
ある朝、その彰がベッドの端に腰を下ろし、こう言った。
「俺、十年後から戻ってきたんだ」
十年後、二人は結婚していて、彼女の名字も久世になっているらしい。
けれど彼女は、彼の弟・久世湊と浮気するのだという。
「それでも俺は、離婚しなかった」
苗は呆然と立ち尽くし、しばらくして、ようやく口を開いた。
「……で、その若いイケメンって、どんな顔? あなたよりかっこいいの?」
彰の顔色が、一瞬で変わった。
「俺だって、とっくにお前のことなんか好きじゃない。もっと若くて綺麗な女がいるんだよ」
冷たく笑い、スーツケースを引いて出ていく。
そのくせ、何度も振り返っては、彼女が追いかけてくるのを待っていた。
苗は追わなかった。
目の奥がつんと熱くなった。
フードデリバリーを頼み、ベッドの上で小さく丸まって待った。
やがて、インターホンが鳴った。
ドアスコープも確認せずに扉を開け、袋を受け取ろうと手を伸ばす。
すると、その手のひらを、指先でくすぐられた。
立っていたのは、透けるほど白い肌に、薄い白シャツ越しでもわかる厚い胸板の青年。
ふわふわのくせ毛に、子犬みたいな瞳。
「お姉さん。俺が、あなたの未来の浮気相手です」
彼を受け入れるまで、迷った時間はゼロ秒だった。
ところが一週間後。
苗はネットで、こんな投稿を見つけてしまう。
『一目惚れした俺の嫁が、兄貴の彼女だった件。どうすればいい?』