突然隣に越してきた元夫が拾ったパンツ片手に「お前の旦那、趣味悪い」と。しかも夫の浮気って何?
Kyarameru Neko
恋愛現代恋愛
2026年10月19日
公開日
2.4万字
連載中
台風の日、私の下着と弟の蛍光ピンクのパンツが、階下のベランダに飛ばされた。
取りに行くと、ドアを開けたのは、八か月前に別れた元カレ・久世野分だった。
彼は指先にハンガーを引っかけ、嫌味たっぷりに言った。
「田中さん。俺と別れても、相変わらず趣味悪いんだね」
私はハンガーをひったくった。
「あいにく、これ、夫のなので」
彼は信じた。
それはもう、疑いもせずに。
そして、私の隣に引っ越してきた。
夜中に壁をドンドン叩く。
メッセージを九十九件も送りつける。
毎日むすっとした顔で、うちの犬を散歩に連れ出す。
しまいには、真顔でこう宣言した。
「二番目でもいい。とりあえず、お前の浮気相手になる」
弟がドラッグストアの袋を提げて帰ってくると、彼は鼻で笑った。
「こんなヒモ男の、どこがいいわけ?」
ところが、弟が私を「姉ちゃん」と呼んだ瞬間。
彼の目が、怖いくらいに輝いた。
私はすかさず弟の足を踏み、にっこり笑った。
「あなた、ケンカしちゃだめよ?」
今ではマンション中の住人が知っている。
三階の田中さんの家には、元カレが毎日、ごはんを作って犬の散歩をしに来ることを。
しかもその元カレは、自腹でうちの弟に、壁一面を埋め尽くすほどのスニーカーと、月見島の豪邸まで貢いでいるのだ。