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私を囲っていた財閥御曹司が破産――私を金目当てで逃げた女だと思っていた彼に、二億円を援助したのは私でした
私を囲っていた財閥御曹司が破産――私を金目当てで逃げた女だと思っていた彼に、二億円を援助したのは私でした
シードル
恋愛現代恋愛
2026年10月21日
公開日
2.6万字
連載中
六年前、神宮寺徹が破産した日、江口遥はスーツケースを引いて東京を去った。 週刊誌に新幹線に乗り込む姿を撮られ、 名家の人々からは「金を持ち逃げした女」と陰で嘲笑された。 六年後、彼は見事に返り咲き、会社の階段で彼女を捕まえた。 そこから、五年間の秘密の恋が始まった。 二十七歳の冬の夜。 祖母からお見合いを勧められていると何気なく口にした彼女に、彼は金箔押しの名刺を無造作に胸元へ押し込み、冷たく言い放った。 「俺はお前とは結婚しない。 そいつのほうがお前より金を持ってる。 試しに付き合ってみろよ。どうせお前は金が好きなんだろ?」 彼女は小切手を受け取り、俯いてゼロの数を数えた。 何度数えても、数えきれなかった。 何かが、完全に壊れてしまった気がした。 誰も知らなかった。かつて神宮寺徹が必死に探し続けた、 彼の破産時に匿名で二億円を振り込んだ人物。それが遥だったことを。 彼は、自分が彼女に渡した二億円の小切手と、彼女がバッグや宝石を売り払って用意した二億円が、どちらも匿名の出資金として自分の会社に振り込まれたのだと思っていた。 彼女には、もう一円も残っていなかった。 その夜、遥は名刺に記された名前を確かめ、桐谷ホールディングスの代表電話にかけた。 後になって、彼は四億円の送金の真相を突き止め、彼女のマンションの前に立って尋ねた。 「どうして金がないんだ?」彼女は小さく笑っただけで、何も答えなかった。 彼は毎月、大阪まで足を運び、遠くから彼女の姿を一目見るだけの日々を送った。 そしてついに、彼女が桐谷景の腕を取り、桜吹雪の中へ歩いていく姿を目にした。

第1話 数えきれないゼロ

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