
恋愛小説の第1話では、主人公の人生を変える出来事が描かれることがあります。
恋人の裏切りを知る。
婚約者との関係が崩れる。
夫から離婚を告げられる。
こうした出来事は、物語が動き出す大きなきっかけになります。
ただ、「何が起きたか」と同じくらい考えてみたいのが、
その出来事を受けて、主人公が何を決めるのか。
という部分です。
「悲しい」「許せない」「ここにはいられない」と感じるだけではなく、
離婚届を差し出す。
仕事を辞める。
故郷へ戻る。
新しい仕事を始める。
別の人物に助けを求める。
主人公自身が何かを選ぶことで、その選択から次の出来事を作ることができます。
今回はネオページで公開されている恋愛作品を例に、第1話をはじめとした物語の入口で、主人公の「決断」から次の展開を作る方法を考えてみます。
目次
1.「何が起きるか」だけでなく、「主人公がどうするか」を考える
2.「何から離れるか」と一緒に、「どこへ向かうか」を考える
3.主人公の「決断」から、次の出来事を起こす
4.最初から主人公がすべてを決めなくてもいい
5.第1話を書くときに考えてみたい4つのこと
主人公の「決断」を、次の物語につなげてみよう
1.「何が起きるか」だけでなく、「主人公がどうするか」を考える
物語の冒頭に大きな出来事を置くとき、
「主人公に何が起きるか」
を最初に考えることは多いかもしれません。
たとえば、
恋人の浮気を知る
婚約を破棄される
夫婦関係が壊れる
仕事や居場所を失う
などです。
ここでもう一つ考えてみたいのが、
「それを受けて主人公はどうするのか?」
ということです。
『三年間愛されなかったので身を引こうとしたら、離婚届を見た夫が壊れ始めました』では、主人公・茉白は、夫との冷えた関係の中で暮らしています。
夫の女性関係に振り回され、さらに彼の初恋相手が帰国。
そこで茉白は、ただ「つらい」と感じるだけではありません。
第1話で、自分から離婚届を差し出します。
そして、その後は家族の了承を取り、
夫と一緒に勤めている会社から離れる準備も進めていきます。
つまり、
出来事が起きる
↓
主人公が決断する
↓
決断を行動に移す
という流れが作られています。
主人公の置かれた状況を描いたあとに「だから私はこうする」という選択まで見せる。
そうすることで、次に主人公が何をするのかという新しい動きを作ることができます。
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2.「何から離れるか」と一緒に、「どこへ向かうか」を考える
主人公が今いる場所から離れる決断をしたら、
そのあと、どこへ向かうのか
も考えてみましょう。
『元カレが兄嫁の為に私を打った!?御曹司に溺愛された物語の幕開けだった』の主人公・千夏は、恋人とその義理の姉との関係によって傷つけられます。
しかし、自分を守るための証拠を残し、
これまで暮らしてきた街を離れることを決断。
仕事も辞め、祖母や兄のいる故郷へ戻ろうとします。
ここで千夏が考えるのは、
傷つけた相手に同じ苦しみを与えることだけではありません。
自分自身が幸せになること。
主人公が、「この人から離れたい」という目的だけを持っている場合、
その関係から離れたところで一つの目標が達成されます。
そこで、
「これからどこで暮らしたいのか」
「どんな仕事をしたいのか」
「どんな自分になりたいのか」
まで考えてみます。
すると、
「何から離れるか」+「どこへ向かうか」
という二つの方向から、主人公の行動を作ることができます。
恋愛関係が変わることを、
主人公自身の生活や人生が変わるきっかけとして使う方法です。
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3.主人公の「決断」から、次の出来事を起こす
さらに一歩進めて、
主人公の選択そのものを、次の展開のきっかけにする
という方法もあります。
『裏切られたけど、再会した幼馴染御曹司と即結婚!?クズ男に華麗なざまぁを』では、主人公・莉奈が、結婚式を控えた婚約者の裏切りを知ります。
莉奈は証拠を残し、その場を離れます。
そして再会するのが、もう一人の幼馴染であり、かつての初恋相手。
ここで莉奈は、大きな選択をします。
自分から彼に結婚を提案するのです。
この決断によって、物語には新しい関係が生まれます。
さらに莉奈は、婚約者や周囲の人たちについて証拠を集め、
これから起こることに備え始めます。
ここでは、
婚約者に裏切られる
↓
主人公が決断する
↓
別の相手との結婚を選ぶ
↓
人間関係や今後の計画が変わる
と、主人公の選択から次の出来事が発生しています。
物語を作るとき、
「次に主人公には何が起こるだろう?」
だけでなく、
「主人公がこれを選んだら、次に何が起こるだろう?」
と考えてみる。
主人公を「出来事を受け取る人物」だけでなく、
「次の出来事を生み出す人物」にするための考え方の一つです。
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4.最初から主人公がすべてを決めなくてもいい
ここまで読むと、
「主人公は第1話から、自分ですべてを決めて行動しなければならないのか?」と思うかもしれません。
もちろん、そうとは限りません。
主人公にはどうすることもできない出来事から物語を始めることもできます。
『娘の誕生日に離婚を告げられた私ですが、十年前に救えなかった天才作家に溺愛されています』では、主人公・栞が夫から突然離婚を告げられます。
さらに夫の希望によって、担当編集という仕事上の立場まで失うことになります。
離婚を言い出したのは、栞ではありません。
仕事の環境が変わったことも、彼女自身が望んだ結果ではありません。
つまり、物語の始まりでは、
主人公の意思とは関係なく状況が大きく変わっています。
それでも栞は娘を守りながら働こうとし、新しい環境へ進みます。
そして、そこで十年前に出会った作家・久世と再会。
久世から担当編集になってほしいと求められ、
栞自身もその仕事を引き受けることを選びます。
ここから考えられるのは、
「何が起こるか」を主人公自身が選べなくても、
「起きたあとにどうするか」には、主人公自身の選択を置くことができる
ということです。
主人公を動かすために、必ず主人公自身から事件を起こす必要はありません。
思いがけない出来事に巻き込まれた主人公が、そのあと何を選ぶのか。
そこから主人公自身の物語を始める方法もあります。
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5.第1話を書くときに考えてみたい4つのこと
ここまで紹介した内容を、実際の作品作りに置き換えてみましょう。
第1話を考えるとき、次の4つを順番に整理してみる方法があります。
① 主人公に何が起きる?
まずは、物語が動き始める出来事です。
恋人の裏切りを知る。
離婚を告げられる。
仕事を失う。
思いがけない人物と再会する。
② その出来事によって、主人公は何を感じる?
悲しい。
許せない。
ここにはいられない。
もう一度やり直したい。
主人公が決断する理由につながる部分です。
③ 主人公は何を決める?
離婚する。
婚約を終わらせる。
家を出る。
仕事を始める。
誰かに助けを求める。
ここで感情が具体的な選択に変わります。
④ その決断によって、次に何が起こる?
ここが次話への橋になります。
家を出たから、新しい場所へ行く。
仕事を変えたから、新しい人物と出会う。
離婚を申し出たから、相手の態度が変わる。
誰かに助けを求めたから、新しい関係が始まる。
この4つをつなげると、
出来事 → 感情 → 決断 → 次の展開
という流れを整理できます。
主人公の「決断」を、次の物語につなげてみよう
恋愛小説の主人公には、さまざまな出来事が起こります。
大切なのは、大きな事件を次々に起こすことだけではありません。
その出来事を受けて、
主人公が何を考え、何を選び、その結果として何が変わるのか。
そこまでつなげて考えることで、主人公自身の行動から次の展開を作ることができます。
もちろん、すべてを第1話だけで描く必要はありません。
第1話では決断まで。
第2話では行動へ。
その先で新しい人物と出会う。
そんな組み立てもできます。
これから恋愛小説の第1話を書くとき、
「主人公に何を起こそう?」と考えたあとに、
もう一つ、
「それを受けて、この主人公は何を決めるだろう?」
と考えてみてはいかがでしょうか。
その「決断」が、次の物語を動かすきっかけになるかもしれません。