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夫の見合い百日目、新しい恋人の前で彼は密かに私の結婚指輪をつけていた
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夫の見合い百日目、新しい恋人の前で彼は密かに私の結婚指輪をつけていた
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現代恋愛
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最近更新:第10話 閻魔王の大殿
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2026年07月23日 19:11
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死後三年。 篠宮幸奈は、ようやく短い時間だけこの世へ戻る機会を得た。 そこで彼女が目にした最初の光景は―― 夫・加藤月彦が、お見合いをしている姿だった。 彼は別の女性に笑いかけ、料理を取り分け、椅子まで引いてあげている。 私の写真は引き出しの奥へしまわれ、 スマートフォンの待ち受けは娘の写真に変わっていた。 私が最後に送ったボイスメッセージは、会話画面の一番下に沈んでいた。 そして彼は―― 私の結婚指輪まで、母に渡していた。 私はできることをすべてした。 彼に縁結びの糸を結び、 私の元秘書との仲を取り持ち、 彼が少しずつ私を忘れていく姿を、自分の目で見届けた。 これで、彼はもう前を向ける。 そう思っていた。 けれど―― 命日の日。 私が消える直前、最後に風の中で聞いた声。 「幸奈……来世では、どうか穏やかで幸せに」 その瞬間、私はようやく知った。 彼は最初から―― 私が見えていたのだ。 加藤月彦には、誰にも言えない秘密があった。 彼には、幽霊が見える。 正確には―― 三年前に亡くなった妻、篠宮幸奈の姿が。 彼女が頭上に浮かびながら自分のお見合いを眺めている時。 月彦は、笑い出さないようにどれほど必死で耐えていたことか。 彼女が自分に縁結びの糸を結んだ時。 彼は振り返ったあと、神主に頼んでその糸をほどいてもらった。 彼女が「夫は秘書と恋を始めた」と思っていた時。 月彦は、甘い言葉を口にするたび、幸奈の険しい顔を見ないよう何度も練習していた。 幸奈は、自分が彼を幸せにしていると思っていた。 でも本当は―― 救われていたのは、彼の方だった。 三年間。 千を超える夜。 彼はずっと、「もう君を忘れた」という芝居を続けていた。 彼女が旅立つ日。 月彦は森の中に隠れ、幸奈の魂が静かに消えていくのを見送った。 そして、薬指に触れる。 そこには、彼が一度も本当には外さなかった結婚指輪があった。 彼は小さく呟いた。 「嘘つきだな」 「一緒に歳を取るって……約束しただろ」
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最近更新:第10話 閻魔王の大殿
2026年07月23日 19:11
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