あらすじ
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佐倉千尋の人生は、姉が難産で亡くなったあの日から、たった一つのことだけに捧げられていた――拡張型心筋症を患う姉の娘・芽依を救うこと。 三億二千万円にも及ぶ移植費用を捻出するため、彼女は元夫と嘘で築き上げた結婚生活を送り、さらには身分証まで売り飛ばして非合法な薬物治験に参加しようとした。 そんな千尋が、今にも息絶えそうな子どもを抱えて東都医大へ駆け込んだとき、救命手術を行える唯一の執刀医が、かつて高校時代に彼女が皆の前で拒絶し、そのうえ母親から家柄の違いを理由に辱められた、隣の席だった同級生――九条玲司だと知る。 彼は彼女に気づいていた。 それでも、過去については一言も口にしなかった。 千尋は、それが完全な忘却と諦めを意味しているのだと思っていた。 だが、階段の踊り場でついた嘘が暴かれたとき、普段はどこまでも自制的な男が、彼女を非合法な取引から引き戻した。 そして、淡々と告げる。 「三千万円、前払いしておいた。まずは彼女の検査を受けられる」 彼は千尋を見つめ、彼女を崩れ落ちさせる一言を口にした。 「どうして、俺を頼らなかった?」 ――八年間にわたるすべてのすれ違いは、周到に仕組まれた一つの嘘から始まっていた。閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2026-09-03 16:09ネオ・デビューネオ・デビュー2026-09-02 15:12作者のひとりごと作者のひとりごと
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