あらすじ
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姉の代わりに、彼女が嫌っていた盲目の婚約者を二年間支えた私は、報酬として一千万円を受け取った。 そして彼が視力を取り戻す日、私はお金だけを置いて去るつもりだった。 彼はとても気難しい人だった。 物を投げる。 怒鳴る。 何日も口をきかない。 けれど私は、仕事として彼のそばにいるだけ。 何も言い返さず、ただ黙って片付け続けた。 そんなある日。 彼は怒りながら言った。 「君は本当は、俺のことを嫌っているんだろ」 私は何も答えず、ただ彼の唇に自分の唇を重ねた。 彼は静かになった。 そして、耳まで真っ赤になった。 北陸の冬は厳しい。 窓の隙間から冷たい風が入り、暖房は夜中になると止まってしまう。 彼の十九歳の誕生日。 私は二日間働いて、安い銀色の指輪を二つ買った。 彼には見えないはずだった。 それでも彼は、赤くなった耳で言った。 「拾ったものでも嬉しいよ」 「君がくれたものだから」 彼が視力を取り戻した日。 私は姉のボディーガードに連れて行かれた。 姉は控室で化粧を直しながら言った。 「あなたが彼と何か関係を持つことなんて、永遠にありえない」 三年後。 再会した彼は、御堂グループの社長になっていた。 私は名もない契約記者。 そして彼の婚約者は―― 実の姉であり、人気女優の桐生麗奈だった。 世間は言った。 桐生麗奈こそ、彼が苦しい時代を支えた女性だと。 二人は苦楽を共に乗り越えた恋人同士だと。 そんな中、年度発表会の日。 姉は偽造した写真と編集された監視映像を持ってステージへ上がった。 そして大勢の前で私を糾弾した。 「この女は枕営業で地位を得た」 「御堂グループの機密情報を盗んだ」 会場は騒然となった。 私はスポットライトの中心に立たされ、逃げ場を失った。 その時。 大ホールの正面扉が開いた。 御堂航介が入ってきた。 彼は私の横を通り過ぎた。 視線すら向けなかった。 私は思った。 彼も、姉の言葉を信じたのだと。 けれど―― 彼はステージへ上がった。 そして私の前に立ち、大勢の前で左手を掲げた。 薬指にはめられていたのは、あの日の安い銀色の指輪。 「君は俺に指輪をくれたのに」 「責任を取るつもりはないのか?」 会場は静まり返った。 姉の顔から、血の気が引いていった。閉じる
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創意工夫ありし者創意工夫ありし者2026-09-10 18:59ネオ・デビューネオ・デビュー2026-09-10 18:58作者のひとりごと作者のひとりごと
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