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第1回

……もう災いは過ぎ去ったと、大人たちが教会で神に祈りを捧げていると、どこからともなく軽やかな笛の音が聞こえてきました。

その音色を耳にしたとたん、子どもたちがわれ先にと家から飛び出していきます。

笛の音にみんな大はしゃぎ。楽しそうに手足を振り動かして踊りながら笛吹き男のあとをついて歩きました。

笛吹き男が歩く道の先々で、子どもたちは次から次へと集まってきます。

そうして、町じゅうの子どもたちが笛吹き男について歩き、町を出て行ってしまったのでした。


子どもたちの行方は、数百年過ぎた今なお、わかりません。

                        『ハーメルンの笛吹き男』



◆◆◆



 夕暮れに赤く染まった丘を、野球帽をかぶった少年が歩いていた。


 鼻歌を口ずさみ、時折スキップを踏んだりと、その足取りはとても軽やかだ。

 丘の下では全身真っ黒で、赤く濡れた大きな口を持った化け物が2体、背を丸めてうずくまって、もはや元が何だったかも知れないほど崩れたモノをグチャグチャと咀嚼していたが、そんなこと、ここでは日常茶飯事だというように少年は目もくれない。

 事実、少年の周囲だけでもさまざまな場所で同様の惨事が起きており、また悲鳴を上げて逃げ回るモノ、ケタケタと笑いながらそれを追いかけるモノなどもいた。


 草むらで、木の影で。崩れた建物の中で。それはいともたやすく行われる日常の光景。


 しかしそうした自らの欲求に突き動かされているような化け物たちでありながらも、不思議と、少年にだけは襲いかかることはしなかった。むしろ目をそらして視界に入れまいとしているようでもある。

 楽しげに行く少年の足元では、有象無象の小さな生き物が踏まれまいとあせりながら草むらを逃げていく。


 知能あるモノも、そうでないモノも。こういう弱肉強食の世界にいるからこそ、本能的に察しているのだ。

 この異界にあって、人というせいある者特有のまぶしい光を放ち、においを発してはいるが、あれは決して手を出してはいけない恐ろしいモノだということを。


「……ふふ。あははははっ」


 そうして少年が向かった先には水たまりがあった。その水たまりは少し変わっていて、周りの景色を映さない。草を揺らすほどの風が吹こうとも波紋1つたてないそれが映すものは、この世界にはない青い空。流れる白い雲と風に揺れる大木の枝葉、そして何体もの人形たちだった。


 ただの水たまりではない。そもそもこれは、水たまりですらない。

 最近見つけた、お気に入りのゲートだ。


 普通、ゲートというものは短時間しか開いていない。用があって開けるもので、用が終われば閉じられる。当たり前のことだ。しかしこのゲートは開いたまま、閉じられる気配がなかった。

 このゲートを開いた者は、案外、その『用』を果たす前に亡くなったのかもしれない。


 それ自体は珍しいことではなかった。ゲートを開き、勇んでこちらへ乗り込んで来たものの返り討ちに遭う。これもまた、よくあること。

 その場合、術士が死んだ時点でゲートは存在する『意』を失い、消える。消える時間はまちまちだ。

 こちらの時間ではなく、現世での時間に関係しているのかもしれない。


 現世と異界は時の流れが違う。この異界での1日は現世での10年かもしれないし、百億年かもしれない。そもそもこの異界の1日はいまだ終わってすらいないし、終わる気配もなく、はたして終わりがあるのかも分からない。


 好奇心から、少年は異界へ迷い込んだり怨霊によって連れ込まれた現世人を見つけると積極的に接してきたが、その時々によって彼らは衣装も、話し方も、考え方も違っていた。今が900年と言う者もいれば、2030年と言う者もいた。どうやら現世とこちらでは、時の流れは方向すらも違っているようだ。

 考えてみれば、時の流れが1方向だなどと、だれが決めたのか。


 とはいうものの、こんがらがった時間について、少年は無頓着だった。このゲートが一体いつの時代のものなのか、などと、そもそもここから出られない身なのだから気にしたところで意味はない。

 ただ、もう一つの世界、現世については並々ならぬ興味があった。


「さあて、っと。何が見えるかな?」

 喜々として水たまりをのぞき込む。

 青い空、流れる雲、きらきらとまぶしい木漏れ日。

 ここではない、別の世界。


 自分が生まれた世界。



◆◆◆



 たま子はもう長いこと、胸に重いものを抱えていた。


 いつからかははっきり分かっている。小学校に入学したときからだ。新しい学校、新しい服、新しいかばん。胸がうきうきと弾んで、とても楽しくて、前夜は眠れなかった。新しい学校に行ったら、こうしたい、ああしたいと、隣で寝る母に話し続けていた。もう、何十年も昔のことに思える。


 入学してすぐ、たま子はクラスメイトのいじめにあった。

 なぜかは分からなかった。登校すると机に汚い言葉を書かれていたり、体育で教室を空けたあとに戻ってみたらノートや教科書をぐしゃぐしゃにされていたり、かばんをごみ箱に入れられていたりした。

 犯人は分からなかった。ただ、後ろでくすくすと嗤い声がしているのが聞こえてくると、クラスのだれもが自分を見て笑っているように思えて、すごく恥ずかしかった。

 保育園からの友達は、巻き添えになるのを嫌がってか、たま子に近づかなくなった。たま子が声をかけようとしても、無視して通りすぎた。


 小学校で友達はできなかった。自分に意地悪をする子、見て見ぬふりをする子、それを見て嗤う子。そんな子たちと友達になんかなれるわけないと思った。


 両親にも、先生にも、言えなかった。

 言えるわけがない、こんな恥ずかしいこと。

 ただただ時が過ぎて、早く中学生になりたいと思っていた。学校が変わればきっとこういうことも終わると考えて、毎日カレンダーに印を付けて数えていた。


 けれど結局、中学に進学しても同じだった。


 考えてみれば当たり前だ。中学は小学と同じ校区で通う学校が決まっていて、私立へ進学する子以外はみんな同じ公立の中学に通う。中学のクラスも見知った者が大半で、その子たちが他の小学校から来た子にも話したに違いなかった。

 たま子は中学でもいじめられっ子だった。


 クラスにいても、誰も話しかけてこない。ただ座っているだけ。空気のような存在。いや、空気ならまだマシだ。休み時間、くすくす笑っている声が聞こえると、自分を笑っているとしか思えない。

 朝、みんなが自分の悪口を話しているのではないかと思って、教室のドアを開けることもできなくなっていた。


 学校へ行きたくなかった。でも行かないと先生から親に電話がいくかもしれない。両親に疑われてしまう。

 こんなことになってるなんて、親には絶対知られたくない。


 でも……ああ、胸が重い。気分が悪い。吐き気がする。

 これから教室へ行くのだと思うと、足の下に真っ暗な穴が開いていて、どこまでも落ちていきそうな自分を真上から見ているような感覚に囚われて……。



 気付けばたま子は、人形だらけの公園にぽつんと立っていた。



 町の人からは人形塚と呼ばれている、不法投棄の人形でいっぱいの公園だ。

「……どうしてここに……」

 ぐるりと辺りを見回して、はっと気付く。

「やだ! 今何時?」

 あわててスマホで時間を確認すると、8時半だった。朝のHRには間に合わないが、走れば1時限目には間に合うかもしれない。

 急いで公園を出ようとしたところで、たま子は聞き慣れない声を耳にした。


――マッテ、オネエチャン。


 人間の声とは思えない、かといってVtuberが使うようなボイスチェンジャーの機械音声とも少し違う、水面に広がる波紋のような、何ともいえない不思議な声に惹かれて振り返ると、ずらりと並んだ人形たちの中で、1体の人形が目に飛び込んできた。

 特に大きいわけでもなく、小さいわけでもない。取り立てて目立つ服装をしているわけでもなく、破損がひどいとかいうわけでもない。赤地に白の水玉模様のワンピースを着た、青い目に金髪ポニーテールの、よくあるセルロイドの人形だった。


 吸い寄せられるように手に取り、なでる。

 どのくらい風雨にさらされていたのか。ひどく汚れていたが、へこんだり、壊れている所はなさそうだった。

「こんなにかわいいのに。いらないって置いてかれたの? かわいそう。

 そうだ」

 ハンカチを取り出し、公園の出口近くにあった水道の蛇口の水でハンカチを湿らせて、泥をぬぐってやった。

「ほら、きれいになった」


――フフ。アリガトウ、オネエチャン。


 またあの声が聞こえた。今度は自分の手にした人形から。

 人形がしゃべったの?

「まさか……」

 首を振ったものの、不思議と、おかしいと思えなかった。

 頭がおかしくなったのかも、とも思った。だけど――両親以外のだれかが自分に話しかけてくれたのは、本当に久しぶりだったから。うれしさのほうがずっと勝っていた。


 自分の妄想かもしれない。それでもいい。


――オネエチャン、アタシヲイッショニツレテイッテクレナイ?


「ここから出たいの?」


――ソウヨ。ココハトテモタイクツナノ。タダスワッテルダケナンダモノ。オネエチャンモソウオモウデショ? アタシ、モットイロンナトコロガミタイワ。


 周囲に目を向けて、そうかもしれない、とたま子は思った。


「あなた、わたしの話し相手になってくれる? そうしたら、ここから連れ出してあげる」


 息を止めて返事を待つ。

 期待に胸がドキドキして、痛いほどだ。


 人形は、笑ったように見えた。


――エエ、イイワヨ、オネエチャン。ソノカワリ、アタシヲアナタノイモウトノヨウニ、ダイジニカワイガッテネ。


 その言葉を聞いたとき。たま子は頭がしびれるほどうれしかった。

 言葉にならない思いが膨れ上がって、ぽろりと涙がこぼれた。

 こんなにも自分は飢えていたのだと、初めて気付いた。


「……うん。大事にする」

 熱くなった目元をこすりながら、笑顔で応える。

「あ、そうだ。あなたのこと、どう呼べばいい? 名前はある?」


――オボエテナイワ。アタシガハナスノハオネエチャントダケダカラ、オネエチャンガツケテチョウダイ。


「そう? じゃあわたしの妹だから、タマミっていうのはどう?」


――タマミネ。キレイナナマエ。ウレシイワ。アリガトウ、オネエチャン。


 人形を抱いて、話しながら歩く。

 タマミの声が聞こえるのはたま子だけだ。すれ違う人の中には不思議そうな表情をする者もいたが、気にならなかった。



◆◆◆



 それからのたま子は有頂天だった。話し相手ができたのだ。もう学校で無視されても、何をされても平気だった。家に帰ればタマミがいて、彼女の言葉に耳を傾けてくれる。学校での出来事を聞いて、たま子のために怒ってくれたり、一緒にテレビを見て、一緒に笑ってくれる。それだけでうれしかった。


 ある日、体操服が見つからなくて探したら、トイレの便器の中から見つかったことを話した。一緒に怒って鬱憤を晴らし、それで終わりだと思っていたら、タマミが「アタシモガッコウヘツレテイッテ」と言いだした。

「……え? でも……」

 たま子はとまどった。


――ココデスワッテオネエチャンヲマッテイルノハタイクツナノ。アノコウエンニイルノトオナジダワ。


「それは……」


――サイショニイッタデショ。アタシハイロンナトコロガミタイノ。アーア。コレジャ、ナンノタメニアソコヲデタノカワカラナイワ。


 タマミがたま子の与えた環境に不満を持っていると知って、たま子はあせった。

 タマミはたま子に腹を立てている。このままではタマミを失ってしまうかもしれない。

「わ、わかったわ。連れてく。連れていくから……」


――ホント!? ウレシイワ、オネエチャン。ダイスキ!


 タマミが機嫌を直してくれたことにほっとして、たま子は彼女を抱きしめた。

「わたしもあなたが大好きよ、タマミ」


 だけど不安はあった。クラスの女子たちにタマミが見つかったら、何をされるか……。

(わたしが守らなくちゃ。絶対にタマミを1人にさせない)

 そう決意して。

 翌日から、たま子はタマミを手作りの巾着袋に入れて持ち歩いた。学校に行っても、トイレに行くときも、巾着袋を携帯した。そしてだれもいない場所でだけ、巾着袋を開いてタマミを出した。タマミは「コレジャナニモミエナイジャナイ」と不満を言ったが、「先生に見つかったら没収されちゃうから我慢してちょうだい」と必死になだめた。


 だけど、やはりうまくはいかなかった。

 体育の時間はどうしても、私物は部屋に置いていくしかない。

 机の奥にしまって、手前に教科書やノートで壁を築いて隠しておいたけれど、そんなことでごまかされてはくれなかった。

 急いで戻ったが、教科書やノートは床に落とされて、タマミの入った巾着袋はなくなっていた。


「タマミ! ……どうしよう……」

 タマミを失った恐怖に体が震えた。叫びたいのを我慢して口元を手でおおう。


 そのときだった。


 視界の隅で、何か大きな物が、窓の向こうを上から下へ通り過ぎていく。

 机に目を落としていたたま子はそんなふうに感じたが、窓から外を眺めていて、それを目撃したクラスメイトたちはそうではなかった。

「飛び降り!?」

「うそ! やだ!」

「あれ、聡子!? どうして!?」

「……あたし、目が合っちゃった……」

 悲鳴と混乱がクラスを満たす。下の階のクラスも、上の階のクラスでもだ。女子の飛び降りに、学校中が大騒ぎになった。


 少女が飛び降りた屋上では金網が1枚外れていたこと、友人たちや家族、担任などの聞き取りから自殺する理由が見つからなかったことから、これは自殺でなく転落事故と警察は結論付けた。もたれた金網が運悪く腐食していて、外れて一緒に落ちてしまったのだろうと。

 そして巾着袋に入ったタマミ人形は落とし物として職員室に届けられ、巾着袋に見覚えのあった担任からたま子へと戻された。屋上に出入りするドア近くに落ちていたという。



 このときはまだ、たま子もタマミを疑ってはいなかった。なぜなら、タマミは動けないから。声が聞こえるのはたま子だけ。それだって、幻聴なのかもしれないのだ。

 だからタマミが汚れていても不思議に思わなかった。お風呂に入れて手足を洗っていたとき、何があったのかタマミに訊くと、タマミを盗んだ少女が彼女を手荒に扱ったせいだと言ったので、それで納得した。


――モウ! ホントウニサンザンダッタワ! カミノケモナンボンカヌケチャッタシ! アタシノコト、ダサイトカ、ヤボッタイトカイッタノヨ! シツレイシチャウワ!


 タマミはものすごく怒っていたのでたま子もそれ以上は追及せず、それからは彼女の気分が良くなるように努め、新しい服や髪飾りを作ってあげたりして機嫌をとることに専心した。


 ……もしかしたら、このときすでに心のどこかで分かっていたのかもしれない。もしかして、と……。


――デモ、ヨカッタワネ。コレデモウ、アノコニオネエチャンガイジメラレルコトハナイモノ。


 楽しそうに言うタマミに、たま子ののどはカラカラに乾いて、何も言葉を返すことができなかった。



◆◆◆



 2日後、2人目の少女が死んだ。トイレの手洗いの水に顔を突っ込んでの溺死だった。

 さらにその5日後に死んだ3人目の少女は、理科室で大量の塩酸をのどに流し込まれていた。薬品管理の棚はガラスが1枚破られていた。そこから手を突っ込んでも届く位置に塩酸の瓶は置いてなかったと理科教諭は主張したが、信じる者はいなかった。

 どちらの少女もたま子のクラスメイトで、たま子へのいじめを主導していた女子だった。


 3人も死ねば、その共通点にだれでも気付く。しかもその現場近くにたま子の人形が落ちていたならば、たま子と3人の死を結びつけない者はまずいない。



「おまえがやったのか!!」



 トイレでたま子を突き飛ばしたのは、やはりクラスでたま子をいじめていた女子グループだった。

 声は勇ましかったが、彼女も、そしてその後ろにいる3人の女子たちも、虚勢を張っているだけで怖がっているのは明らかだ。


「……何がそんなに怖いの?」

 たま子はつき飛ばされて、壁のタイルに頭をぶつけた体勢のままで、つぶやく。

「次は自分が、殺されるかも、って……?」

「う、うるさいっ!! おまえがやったんだろ! おまえが3人を殺したんだ!!」

「どうやって? わたしは聡子ちゃんのとき、クラスにいたし、ほかの2人のときも別の場所にいたの、あなたも知ってるじゃない」

 くつりと笑い。たま子は言った。

「まさか、この子がわたしの代わりに3人を殺したと思ってるとか? こんな小さなお人形が」

「くそっ! 笑うな!!」

 笑みを浮かべたたま子にカッときて、少女はたま子を平手打ちした。そして髪を引っ張り、面を上げさせる。

「おまえだ! おまえが3人を殺した! 認めろ!」

 そうしたら警察に突き出せる。

「……むだよ。言ったでしょ、わたしにはアリバイがあるの。それに、わたしは殺してない。

 でも……そうね、わたしをいじめたというのが共通点なら、こんなことするのは良くないんじゃないかしら?

 次に死ぬのはあなたかもしれないし、……そうじゃないかも」


 たま子の言葉を聞いて、後ろの3人が動揺した。互いを見合い、「そんな」「やだ」「まさか」と不安を口に出す。次は自分かもしれないと思っているのだろう。


「…………ッ!」


 ぱっとつかんでいた髪を放す。そして「このことはだれにも言うなよ!」という言葉を捨て台詞に少女たちはばたばたとトイレを出て行き、中にいるのはたま子とタマミだけになった。


「……ほ、ほんとにあれで良かったの……?」

 笑みが消え、先までとは打って変わっておどおどした震え声でたま子がタマミに言う。


――エエ。メイエンギダッタワ、オネエチャン。イマゴロアノヨニンノアタマノナカハ、ツギハジブンジャナイカッテ、ソレデイッパイヨ。


 くすくすとタマミが笑う。

 打たれたほおがじんじんとして痛い。きっと赤くなっているに違いないほおに手をあてても、タマミは何も言ってくれない。そのことが、たま子はさびしかった。


――オネエチャン。オネエチャンニヤッテホシイコトガ、モウヒトツアルンダケド。


「……なに?」

 何か、良からぬことを企んでいる――そして、それを楽しんでいる――と分かっても、もうたま子には何も言えなかった。

 タマミに嫌われることが怖かった。

 3人を殺したのはきっとタマミだと、今では信じていた。そして、さっき、いみじくも自分で口にした言葉――次に死ぬのはだれか、という言葉が、たま子自身に跳ね返り、恐怖心で縛っていた。

 タマミの気を損ねれば、次に殺されるのはたま子かもしれない、と……。





 数日後。

 たま子を平手打ちした少女が3階の非常階段から転落死して、あるうわさがまことしやかにささやかれるようになった。

 人形塚の人形を持ち帰って願えば、憎い相手を人形が代わりに殺してくれる、と―――。


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