食事を終え、皿洗いを手伝う。そこで、思い切って訊いてみることにした。
「おじさんはさ、結婚する気とかないのか?」
「ないな」
即答だった。まあ、そうだろうとは思っていたけれど。
「ほら、氷川さんとか。おじさんの事情も分かってるし」
おじさんは一呼吸おいて、口を開いた。
「彼女のことは確かに信頼しているけど、恋愛感情はないよ。獏が望月さんや月影ちゃんに対してそうである様に」
ということは、咲夜との関係は見抜かれていたのか。長年の関係は、伊達じゃないということらしい。
「そうか……。おじさん、なんかごめん」
「構わないさ。獏、これからはもっと過酷な戦いになるだろう。向こうも死人が出ている以上、黙っている訳にもいかないだろうからな。その時、仲間も自分も必ず守り通すんだぞ。俺が唯一出来なかったことだ」
「……わかった」
おじさんの表情を、見ようとは思えなかったし見られなかった。見てはいけない気がした。そんな気が、したんだ。
「皿洗い終わり、と。他にも人手があるとやっぱり早いな」
いつのまにか終わっていた皿洗い。俺は怪しまれない様にいつも通りを装う。
「おじさんも、もっと俺らを頼れよな。皿洗いから何まで、世話になってるんだから手伝うっつーの」
「ありがとな」
たったそれだけの言葉を交わし、皆のところへ戻った。