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七十七 霊気融合(第一部完結)

幸一と修良はいろいろな情報を振り返って整理しているうちに、静かな夜が訪れた。

紫苑のことにまだ引っかかった幸一は、ちょっと苦い顔で修良に言った。

「先輩、俺も他人のことを言えないけど、さすが、六歳の『子供』に神探しのようなことを押し付けるのは良くないと思う」

紫苑が六歳だと知っていていも、修良は依然に「神を探し続けてくれ」とを彼に「頼んだ」。

窓際に座って、夜空を眺めている修良は鼻で笑った。

「その話、本当だと思う?彼は珍しい自己意識を持つ魔で、ちょうどあなたに救われて、ちょうどあなたの心魔を引き出せる力を持っている。そんな偶然、あるのか?」

「偶然じゃなくても、紫苑さんは悪意があると思わない……!!」

幸一の話がまだ終わっていないのに、修良は彼の手首を掴んで、自分に引っ張った。

幸一は修良の膝に倒れて、修良の胸に突き込んだ。

「幸一はまだまだ人間不信を勉強する必要があるみたいなだ。いいえ、魔物不信か」

修良は幸一の顎を掴んで二人の視線を合わせる。

今まで、至近距離での接触は日常茶飯事なのに、なぜか、幸一の心臓の鼓動が以前よりも高ぶっている。

修良の熱い目線に焼かれて、幸一はさっそく話題を元に戻した。

「せ、先輩こそ……そんなに『神』のことが気になるのか?俺に黙っている秘密とかないよね?」

「秘密するつもりはない。私はこの新世界の『神』にずっと疑問を持っている。宗主の話によると、数千年前に、冥清朗を迎えに来たものは、神で自称した。今回、妖怪たちや紫苑さんに与えられた啓示も、はっきりとした内容だ。でも、私の知っている『世界の意志』というものは、もっとぼんやりしている、力の波動のようなもので、明確的な意識が全くない」

「それって、あの極光のようなものなのか……?」

「そう。あの極光はかなり近いだろう。あなたの力を感知できなくなったら、すぐ混乱が生じて、そのまま退散した。あんなものは『神』を求めているが、『神』で自称することはないはずだ」

説明しながら、修良は幸一をもっと近くに抱きしめて、幸一の肩に顎を置いた。

「もしかしたら、別の何かが世界の意志の力を借りて、幸一を狙っているかもしれない」

修良の不安を感じた幸一は、修良を抱き返した。

「心配しないで、俺は記憶と力を取り戻した。もう何者にも惑わされない。今度は、俺は先輩を守るよ」

修良のまだ回復していない右腕に触ったら、幸一はちょっと距離を取って、床に置いてある短剣を拾った。

「だから、もう二度と俺のために自分を傷付けるようなことをしないでくれ。この短剣が先輩を切るためのものだと知ったら、俺はきっと受け取らなかった」

自分を心配してる幸一を見て、修良はいたずらっぽく笑った。

「いいのか?贈り物を断ることは、私の気持ちを断ることと同じだ」

「……」

幸一が返事に困ったら、修良の機嫌が更によくなった。

「そう言えば、名前はまだ付けてないのか?」

「まだだ。大事なものだから、ゆっくり考えるつもりだ」

「私の腕を切ったから、『断鬼』でいいだろう」

「よくない!縁起でもない!」

幸一はきっぱりと修良の提案を断った。

ちょっと考えたら、ぽつりと名付けた。

「『連心れんしん』にする」

「……」

その名前を少し吟味したら、修良は軽く笑った。

「お、おかしい?」

幸一もなんとなく恥ずかしかった。

「いいえ。幸一だったら、もっとシャキッとした名前にすると思ったのに、こんな恋の文のような柔らかい文字を使うとは思わなかった」

「失礼だな、俺は太子をやってた頃も、いろんな文人から優雅な文章を教えてもらったんだ!とにかく、『連心』、二度と先輩を傷付けるのはだめだよ!」

幸一の命令に答えるように、短剣が微弱な共鳴を出した。

短剣を床に戻して、幸一はもう一度修良を抱きしめて、霊気を放出し始める。

「俺はばっちり回復したから、先輩の腕も早く元に戻そう!」

しかし、大量な霊気が修良に触れたら、修良は苦しそうな声をあげた。

「っ!」

「どうした先輩、痛いのか!?何処か間違ったのか?」

幸一は緊張して霊気を止めた。

修良は不自然な笑顔を見せた。

「ああ、妖界の時に言えなかったけど、実は、私たちの力は相反しているものだから、直接に幸一の霊気を受け入れると、かなり痛いんだ」

「!先輩のバカ!なぜ早く言わなかった!?どうすればいい?やはり、師匠に頼んだほうが……」

幸一は慌てて修良から離れようとしたら、修良に引き留められた。

「教える」

修良は自然に幸一の腰を囲んで、幸一の姿勢を整える。

「まずは、霊気の融合から――」

そして、ゆっくりと、自分の吐息を押し付けて、二人の唇を重ねる……


【幽冥心魔篇】終わり


*********

世界のとあるところ。

夜空は闇よりも深い色に染められている。

満天の星の輝きも、そこ闇を照らすことはできない。

そのような空の下で、悲しそうな声が響いた。

「神は、死んだ……」

「この世界は、もう完全になれない……」

「しかし、神の力は依然に、この世界のものだ」

「救世主の志を持つものよ、神の力を奪い返すのだ……!」

いくつかの星が空から落ちて、流星となって、人間界へと駆けた。

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