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第2話・夜○いではありません

 それから三日後の朝のことだった。

 朝鍛錬を終え、私がフォニーと食堂の片隅で朝食を頂いていると、ずんずんという効果音を纏ったような勢いで近づいてくる人がいた。

 私は彼女に背を向けていたけれど、その圧だけでそれが誰なのかわかった。


「……おはようございます、ララビナ様」


 近づいてきた人物は私の背後で立ち止まった。見えないけど仁王立ちなのが何故かわかる。私の後ろに立っている以上、私と向かい合ってご飯を食べているフォニーは嫌でも目が合う。なのでフォニーはすぐ立ち上がって挨拶した。


「お早う。でもね、わたくしが用があるのは貴女じゃないのよ」


 と彼女は感じの悪い事を言う。ていうか、彼女、私の周りでは、感じの悪い事しか言えない病に罹っているみたいな気さえしてるのだけど。

 私は彼女に背を向けている。よって、彼女の接近に気が付かなくても、うっかり、という言い訳が立つだろう。いやほんとは竜騎士見習いとしては背後の気配に気づけないのはダメかも知れないと思うものの、そうであったらいいなと思いながら私は黙々とパンを口に運び続けた。


「……ちょっと! あなた、ララビナ様があなたに用があると仰せなのよ! 何を気づかないふりをしているのよ!」


 と彼女の取り巻きの一人が険しい声をあげる。あー、やっぱり、ふりだってわかっちゃう?


「……おはようございます」


 と私は仕方なく立ち上がって挨拶した。相手は伯爵令嬢、私は底辺の平民なのだから、普通なら跪くべきなのだろうけれど、竜騎士の間ではそうした元の身分には囚われないという規則がある。なのでただ立ち上がって愛想ゼロの挨拶をした。

 だって、『用があると仰せなのよ!』って言われたってそんなの聞いてないし、ただ後ろで仁王立ちで圧をかましているだけなのだから、恭しく礼をとらなくても構わないだろうと思ったのだ。

 でもやっぱり、この態度は彼女の意にそぐわなかったらしい。


「あなた。わたくしは先輩、ですのよ。なんですの、そのふてぶてしい顔は。礼儀作法の基本はここで学んでいる筈です」


 まあね、確かに。身分は表向き平等でも、先輩や上司に対する礼儀というものは当然存在する。下町で生きてた頃には知らなかった事を、ここに来て色々と教わった。最初の頃は、全然そんな気がなくても失礼だと散々言われたけれど、今では最低限きちんとした言葉遣いや礼儀は出来ているつもりだ。勿論高位貴族の社会ではまったく通用しないだろうけれど。

 それはともかく、跪かずとも先輩には丁寧に挨拶すべきという事は一応弁えている。でもそれは、相手が尊敬できる先輩とか、尊敬までいかなくても自分より長く学んできてる先輩だと認められる相手に対して、だと思っている。毎朝のようにウザ絡みしてくるタテロールの伯爵令嬢に対して心底ウンザリしている私の、相手への敬意はゼロだ。


 タテロール。どうせ訓練の時にはまとめて束ねないといけない規則なのに、この伯爵令嬢ララビナ・モルカン嬢は、ご自慢の豊かな金髪を毎朝暗いうちに起きてタテに巻いて食堂に現れるのだ! なんて無駄な事に時間を割くのだろうとしか、ご飯の次に睡眠を愛している私には思えない。でも今も、タテロールは豊かにふぁさふぁさ揺れながら小顔を縁取っている。おーほっほ、という高笑いが似合いそうだが、残念な事に彼女は今笑う気分ではないらしい。


「はあ、この顔は元からなんですけどすみません。なにか御用ですか?」


 御用はわかっているんだけどね。


「御用? そうよ、今日こそ聞かせて頂くわ。貴女、三日前に団長閣下のお部屋でなにをしていたの!」


 ――はい、これが御用です。もう三日間、ずっと問いつめられてます。

 勿論最初に、


『団長閣下に叱られて罰に写本を命じられて、出来上がったら持ってくるように言われたから持って行っただけです』


 と真実のままに説明申し上げた。

 けれどもこのタテロールは、


『閣下は当然翌日の朝にというおつもりだった筈です。緊急の用でもないのに女性が真夜中に殿方の元に一人で押しかけるなんて非常識極まります。なにか悪しき事を企んでいたのに決まっています!』


 の一点張りなのだ。

 悪しき事ってなんですか? と本気でわからなくて私は尋ねてみた。思いつくのは、私がなにかの間諜で、機密を盗もうと夜中に団長室に忍び込んだと疑われた、という事だけだ。そんな疑いをかけられては、よくて追放、悪くて処刑……身に覚えのない罪でそんな目に遭うのは真っ平ごめんだ。私はおいしいご飯が食べられるここの生活が好きなのだ。

 でも、タテロールの想像は違うらしい。


『あなたは! 閣下の魅力の虜になって、少しばかり目をかけられている事で調子に乗って、はしたない行為に及ぼうとしたのですわ!!』

『は?』


 はしたない行為、ってなんだろう。お行儀が悪いとか? ご飯の食べ方が汚いとか? 

 最初は確かに、お行儀なんて学んでなかったので、今から思えばここに来た頃は随分みっともない食べ方をしていたと思う。何せ、記憶を失った上に食うや食わずの生活を送っていたので、食べ方なんて気にする暇もなかったし?      でも今では改善した筈だ。少なくともフォニーや数人の人には、そんなにおかしくない、と褒められる(褒め言葉だと捉えている)。

 だけどそう反論すると、


『誰が食事のマナーの話をしていますか!』


 と大層ご立腹だった。

 じゃあなんのことですか、と聞くと、タテロールは何故だか急に口ごもり、赤くなる。


『ララビナ様、底辺にははっきり言葉にしないと伝わりませんわ。情緒の理解など出来ないのですから』


 と、感じの悪い側近が囁く。


『じゃ、じゃあなんて言えば伝わるというのですか』

『はっきりと仰ればよいではないですか。そなたは夜這いに行ったのだろうと』

『よ……そんなはしたない言葉をわたくしに言えというの?!』

『仕方がありません。下々の者に夜這いを理解させるのも、高貴な生まれの宿命ですわ』


 ……そんな宿命を持っているのなら、高貴な生まれもちょっと気の毒かも……。夜這いの意味くらい私だって知っている。というか、このタテロールの令嬢よりはずっとそんな事に溢れた環境にいた。もちろん、自身には縁がない事だけれども。

 ていうか、いつも思うのだけど、この側近の男爵令嬢もなんか色々ずれてる気がする。有能なメガネにみえるのだけれど、『下々の者に夜這いを理解させるのも、高貴な生まれの宿命ですわ』ってなんだ??


『スエシ、わたくしそんな宿命があったなんて……』


 とタテロールが項垂れ揺れる。側近の言葉に対しては素直なのだ。すこし、可哀相な気もする。

 なので私は助け舟を出す。


『いえ、夜這いくらい、教えて頂かなくても知ってます。性的な目的で夜に異性の所に忍んで行く事です』


 これでタテロールは彼女的NGワードを口にせずに済む、と思って善意でそう言ってあげたのだけど、お嬢様は何故だか眉を吊り上げ、息を荒くして、


『せ、性的って……なんて下品なの! わたくしを撹乱しようという魂胆ですね! もういいわ!』


 と吐き捨てて去っていった。これが昨日のこと。


 そして今また三回目の同じやりとりが始まろうとしているという訳だ。


「何をしていたの、って、もう説明したじゃないですか。罰の写本を提出に行っただけです」

「それだけな筈ないわ!」


 はぁ。どうしてこうしつこいんだろう。こんな事してるよりさっさとご飯を食べた方がずっといいと思うんだけどなぁ。


「だいたい、なんで私が夜這いになんか行くと思うんですか」

「よっ……」


 あ、NGワードだったのを忘れていた。タテロールは顔を赤らめたけれど、今日はそれでも話を進めようという意気込みであったらしく、そのまま話を続けた。まあ、不毛なやり取りからは前進しそうだ。


「団長閣下に少しばかり目をかけられた事で、そなたは浮かれてしまっているのだわ。それで、団長閣下のご指示を頂いたのを良い事に、あわよくばそういう関係になれると思い込んで、閣下の執務室に入り込んだに違いないんですわ!」


 あわよくばそういう関係って……私はあの時、何か食べたい、早く寝たい、以外の事は殆ど考えてなかったんだけども。そもそも、タテジワがいるとも思ってなかったし。


「ララビナさま、リゼットはそんな事を考える娘ではありません。身分は弁えていますし、そもそもこの娘が一番好きなものはご飯なんです。殿方をどうとか、という思考はしません。子どもみたいなものですわ」


 とここでフォニーが助け舟を出してくれる。私の為というのも勿論だけれど、この不毛なやりとりに、私やフォニーだけでなく周りもいい加減うんざりしているのも知っている。


「ご飯? 食事のこと? え、どういう事かしら。一番好きなもの? 団長閣下より食事が好きだと? 意味がわからないわ。いい加減な事を言って胡麻化しても無駄ですよ!」


 とタテロールは暫し戸惑った後で怒り始めた。

 まあ、確かに私はタテジワよりご飯の方が遥かに好きではあるが、タテジワに敬意を持っていない訳ではない。ご飯と比べるのは確かになにか違う気もしてしまう。


「もう! 埒があかないわ。何を言ってものらりくらりと!」


 そう言われても、何を言っても埒があかないと思っているのはこちらの方なんですけれども。


「とにかく、悪しき目的を持って団長閣下に付き纏うのはお止めなさい! これがわたくしの言いたい事です!」

「だから悪しき企みなんかないですって!」


 ああー、いつまで続くのこれ。

 うんざりしすぎていたので、この時私は食堂の入り口辺りがざわめいているのに気付かなかった。


「団長閣下はそなたなんかに惑わされる筈がないと言っているのですよ! いい加減目をお覚ましなさい!」

「惑わそうとか思ってないし、私は団長閣下なんかにそういう興味ないですから!」

「なんか、とはなんだ」


 ……突然この噛み合わない会話に男性の声が割って入った。

 ん?


「ララビナ、大声を出してどうした。そなたらしくないな」


 タテロールの背後に、いつの間にかタテジワが立っていた!


「あっ……団長閣下!」


 タテロールは突然の声がけに気の毒なくらい動揺している。


「も、申し訳ありません! はしたなく……あの、閣下の御為を思って……いえ、言い訳なんかよくありませんわね。その、この平民……いえ後輩を指導しようと思って。でもお騒がせして申し訳ありません」


 謝り倒している。

 ちなみに、団長は多忙なので大抵自室で簡単に朝食をとっているらしいけれど、たまーに食堂に現れて皆と同じ食事をしている時がある。今日はその日だったらしい。


「悪しき企み、と言っていたな。なんのことだ?」

「いえ、その……」

「まさかこの竜騎士団に悪しき企みを持つ者がいるというのか? 何故わたしに報告しないのだ?」

「いえ、その……」

「そなた、リゼットに詰め寄っていたが、リゼットが悪しき企みを持っていると?」

「いえ、その……」


 タテロールは真っ赤になってか細い声を出しながら俯いている。三日間も訳の分からない言いがかりをつけられていたのだから私としては自業自得と思うのだけれど、消え入りそうな様子を見ているとなんだか可哀相な気もしなくもない。


「リゼット、おまえ、悪しき企みを持っているのか?」


 ……同情している場合ではなかった。


「いえそんな滅相もない! 私が企むとしたら、ちょっとだけ多くご飯をよそってもらえたらな、っていう位で!」


 束の間タテジワは私の目をみたけれどすぐに、


「ふん、まあそうだろうな」


 と言って視線を外した。ここまであっさりとこの言い訳で通るのもなんだか微妙な気分にならなくもない。


 タテジワは再びタテロールに向かって、


「悪しき企みとはなんの事だ? 何故、リゼットがそうした企みを持ったと思った? 確たる証拠があるならば、それを提示しろ。判断はわたしがする。もし、証拠もないのにリゼットを責めているのなら、それは心得違いだ。リゼットが貧民街の出身だということで貶める考えを持つ者がいるのはわかっているが、そなたもまたそれで証拠もなしに相手を排除しようとするような考えなのか?」


 と問い詰める。

 周囲はしんとして聞き耳を立てている。


「あの、団長閣下! ララビナ様はそんな……」


 とタテロール側近のメガネが庇おうとして言いかけたけどタテジワは、


「わたしはララビナに聞いている」


 と一蹴した。

 タテロールは暫し俯いていたけれど、やがて頬を紅潮させたまま顔を上げた。


「団長閣下。確かに、証拠をわたくしは持っていません。ですが、皆が申している事ですし、リゼットも認めています。わたくしは別に、リゼットがどこの馬の骨とも知れぬ貧民街の出身だから言いがかりをつけている訳ではありません! その事だけはお分かりいただきたいのです! わたくしはただ、団長閣下の御身を案じるあまり……」

「リゼットも認めている? なんの話だ? 本人はたった今、悪しき企みなどないと申したが?」

「悪しき企みを持つ者が自分で悪しき企みを持っているなどとは言いませんわ。確かに証拠は持ちませんが、ひとつだけ、断言できることがあります」

「ほう?」


 タテロールはいったい何を言い出すんだろう……と不安になってしまう私とは逆に、タテジワはむしろ面白いと言いたげな表情を浮かべる。


「なにを、断言できるのだ?」

「リゼットは、閣下を篭絡しようと企んでいるのですわ! 夜中に、か、閣下のところへ忍んでいったのは事実でございましょ! 異性の所へ夜中に忍んでいくなんて、それは、それはあの……あの……その……」

「夜這いです」


 肝心な所で結局NGワードを口にできずにしどろもどろになったタテロールにすかさず助け舟を出したのは側近メガネだ。有能そうにメガネがきらりと光る。


 聞き耳を立てていた食堂の人々はしんとして固まる。堅物の団長がどういう反応をするのか、誰も予想ができなかったのだ。

 しんとして固まったのは、タテジワも同じだった。けどそれはほんの一瞬だった。


「……ララビナ」

「っ、は、はい! わたくしは勿論、閣下がこんな娘の誘惑に負けるなんて思っていませんわ!」

「あたりまえだ!!」


 タテジワはきっぱりと言う。いやまあ、勿論そうでしょうけど、そんな即答しなくても、と僅かに思わなくもない。


「ですので、わたくしはただ、リゼットの心得違いを正そうと、先輩騎士として指導をせねばと……」

「……ララビナ」

「は、はいっ」


 タテジワはふぅとため息をつく。一瞬、ほんの一瞬だけ、面白がるような表情がよぎった気がしたけれども、多分気のせい。

 タテジワは次には、声を大きくして言い放ったのだ。


「そなたは未だ、ここがどこで自分が誰かもわかっていないようだな」

「え、ええ?! そんな事はありません! ここは栄誉ある竜騎士団であり、わたくしはその一員、ララビナ・モルカンですわ!!」


 タテジワの厳しい声に、タテロールは気の毒なくらい青ざめているが、それでもきっぱりと名乗りをあげた。けれどタテジワは容赦しない。


「恋だの愛だの夜這いだのと、実に下らん事だ。竜騎士の資格と責務を何だと思っているのだ!」

「竜騎士の資格とは、我がドルジアの民から竜に選ばれし者が持つ資格であり、竜騎士の責務とは、ドルジアの為の剣と盾となり祖国に尽くす事であり……」

「そんな決まり文句を聞いているんじゃなあぁい!!」


 なんかどっかで聞いたなこのやりとり。


「で、ではなにを……?」

「国を護る竜騎士たる者が、そんな帝都の令嬢の茶飲み話みたいな発想で務まるのか、と言っている!」

「帝都の令嬢は、お茶会で夜這いなんて言いませんわ!」


 と側近メガネが口を挟んだが、タテジワはギロリと睨んだだけだった。


「そんな事はどうでもよい! そもそもララビナ、仮にリゼットがそういう気持ちを持って近づいたとしても、わたしはそなたに気遣われねばならぬ程惰弱ではないぞ。騎士団において色恋がすべて禁じられている訳ではないが、少なくともわたしにはそんなものに割く時間は一瞬もないし、それはこの見習いも同じの筈だ。だから万一そんな心得違いをしようものなら一喝して追い返すだけだ。それはリゼットだけでなく、誰にでも同じ事だ」

「誰にでも……」


 この言葉に、食堂で聞き耳を立てている団長推しの大勢の女性騎士たちは悲し気に囁き合っている。あわよくばおとしたいと考えていたのに、『告って来たら誰であろうと一喝して追い返す』と宣言されればそりゃテンション下がるよね。


「で、でも、夜中に殿方の所へ単身で赴くなんて」

「それはわたしが命じた事だ。まあ、あの量だから本当に夜中までに仕上がるかどうかわからんとも後で思ったが、命じたからにはわたしが先に寝所に戻る訳にもいかんと考えて残業していただけだ。……まったく、そなたはまだまだ貴族令嬢の気分が抜けていないな。これが戦時下なら、夜中に上官と部下が会うのに男女がどうのなどと言う奴はおらん筈だぞ」


 タテジワはすごい正論で叱っている。いや、タテジワはいつだって正論だ。正論過ぎて言い返す隙がなくて悔しいと常に思うのだけど、タテロールは私のように言い返す気は失せたみたいで、初めてしゅんと項垂れた。


「そ、そうですわね……閣下が、このへいみ……後輩に課題を出されたとは聞いていましたのに、わたくしつい、おかしな方に心配して……お騒がせして、本当に申し訳ありませんでした」

「謝る相手が違うだろう?」


 そう言われて、タテロールはタテジワが登場して以来初めてやっと私を見た。


「誤解してすまなかったわ!!」


 一ミリも頭を下げてはいないけど、やっとこの不毛な言いがかりが終わってゆっくり朝ごはんが食べられるようになるかと思うと私も嬉しくて、


「いいえ、ララビナさま、私も多分態度が悪かったのでおあいこです!」


 とすごく素直に許す事にした。


「……っ、ララビナ様に向かって、おあいことは何事です!」


 と何故かメガネが怒ったが、


「いいのよ、スエシ。平民なんだから口のきき方くらい」


 と何故かタテロールの方が宥める。


「じゃあ、仲間なんだからつまらん事で揉めるなよ」


 とタテジワは言い、向こうのテーブルに去って行った。


 食堂は数瞬の静寂の後には、いつものがやがやした雰囲気に戻る。タテジワがいるのに『告ったら一喝』宣言について言い合う訳にもいかないし、とりあえずは平常に戻った、という感じだ。

 タテロールとメガネはもうこちらを見る事もなく、踵を返してご飯をもらいに行った。


「……まあ収まってよかったけど、感じ悪」


 とフォニーが言うのは勿論タテロールとメガネの事。


「あの二人に感じよくしてもらおうなんて思ってないし、別にいいじゃん。これでやっと落ち着いてご飯を食べられる!」

「……あんたがいいならまあいいけどねー」


 よかったよかった、タテジワもたまにはいい事してくれるじゃん。

 この時の私は、この騒動に対してそれくらいにしか思っていなかった。


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