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第一話 演目 星を救え!未来緊急ロボ!の準備

 めちゃくちゃキラキラした顔をしながら、ごきげんの絆。

 縁達も絆が楽しそうで何よりといった顔をしている。


「絆ちゃんホクホクだね」

「妹が楽しそうでなにより」

「あ! あれは! ゲーセンで稼働している、未来緊急ロボ! 確実参上発火印かくじつさんじょうはっかいんじゃないか!」


 突然鏡が声を上げた!

 その方向を見てみると、看板にロボットアニメのキャラクターが描かれてていた。

 ぱっと見、熱い魂を持ったロボットと少年の友情の物語なのだろう、と思わせる。


「鏡君、それはいったい?」

「むむ! 結びの姉さんは知らないか!? 説明しよう!」

「あ、これ早口になる、鏡にそれ言っちゃダメだ」


 絆の呆れた顔をよそに、早口解説をしだした。


「未来緊急ロボ、確実参上発火印とは平成時代にひっとりとOVAして、一部の人達しか知らなかった! ネットはまだ浸透してなかったし、アニメ見放題などもお手軽ではなかった! そんな時代の名作なんだ!」

「ふむふむ、内容は?」

「実に単純明快! ほうき星という名前の惑星に、突然現れた謎の機械生命体! ブラックホール軍だった! 奴らの目的は主人公! 星々ひかるの抹殺だった!」

「ほうほう、その理由は?」

「未来の世界でひかる君は、ブラックホール軍に対抗出来る兵器を次々と開発する!」

「なるほど、そりゃ狙われるね」

「少年時代のひかる君を助ける為! 未来からやって来たのが発火印だ! ちゃんと自立思考で喋れる! 無論作ったのは未来のひかる君だ!」

「ほうほうほう、全何話?」

「六話だ! 圧倒的に話数が足りてないが、まとまっていると思う!」

「それくらいの長さだと……ブラックホール軍は、最後の抵抗で過去に向かったとか?」

「おお! 流石姉さん! その通り! 当時の小説版ではじっくりとやっていた! ぐっ!」


 傍から見れるのは、鏡がこの作品のガチファンという事だ。

 誰しも自分の好きな話、そして相手が聞く態勢ならば早口にもなるだろう。


「はっは~ん、アニメ最終回のセリフわかったぞ」

「な、何!? 視聴していないのに!?」

「おそらく全6話の中でも、少年とそのロボは友情を育む、そして別れ際に、涙と共に僕は君を絶対造るからな! それの返答が、ああ! 星々ひかる博士……かな?」

「あまり間違っていない! ほぼ合っている!」

「お、当たった、何か面白そうだからみてみよ~」

「おお! 同志がまたここに! 今なら森山ボックスのサブスクで見れる」

「なるほど」

「てな訳で皆! 俺はあれに行きたい!」


 鏡は超嬉しそうな声でその場所を指さした。

 もう遊園地でテンション上がりまくる子供にも負けてない。


「ゲーセンにあるって言ってたけど、どんな内容なの~?」

「ゲーセンにあるのは、基本的にはストーリーモードと、協力モードだ、協力モードにも色々とあるが……わかりやすいブラックホール軍殲滅戦がいいか」

「どんなモード?」

「雑魚兵をただばったばったと薙ぎ払うだけだ!」

「わかりやすいね~」

「さあ! 早速受付だ!」

「は~い、って受付? ゲーセンにあるんだからいらないんじゃ?」

「今パンフレット速攻見たんだけど、ゲーセンにある奴の上位互換らしい、違いは係員さんが説明してくれるらしいぜ!」

「ほほう」


 とりあえず少年の様にワクワクしている鏡を先頭に、目的の場所へと入っていった。

 建物の中は案外普通で、作品の解説コーナー、ゲームセンターに置いてあるゲームを出来る。

 レアスナタ内でのみ体験出来るゲームモードの受付場所等々、早速鏡は受付に移動した。


「いらっしゃいませ! 鏡様、お待ちしておりました!」

「え? 何で?」

「失礼いたしました、順番に説明いたします」

「あ、お願いいたします」

「何時も森山ボックスのゲームをご愛顧いただきありがとうございます」

「いえ、こちらこそ」

「感謝の気持ちを込めて、プレミアム招待券の鏡様には、最高の体験をして頂きたく、勝手ながら準備させていただきました」

「え? 俺に?」

「はい、未来緊急ロボ確実参上発火印を、ご愛読ありがとうございます」

「はっ! 俺がここに来る事が!?」

「ああそいや、招待券使う人たちのアカウントとかアンケート書いたな」

「おうおう~そいやそうだったね」


 プレミアム招待券を使用するにあたって、縁達は個人情報を書いた。

 これは不正使用させない目的もあるが、メインはこのサプライズ部分なのだろう。


「鏡様に特別プランを用意いたしました」

「それはいったい? いやむしろいいんですか?」

「アニメ第五話『確実絶対防衛戦』のアレンジです」

「はっ! ま、まさか!」

「そのまさかです」

「原! 作! 再 !現! いや、俺が介入するからアレンジか!」


 もはや鏡は、周りを配慮しないくらいはしゃいでいる。

 しかし、逆を言えばそれだけ憂いという事だ。

 それを見ていた縁達も、自然と笑顔になる。


「これは鏡君一人で体験するべきだね~」

「だな、俺達は見学していよう、ガチファンの方が楽しめるだろ」

「アニメみてる感じになるかもねー」

「お、なら解説コーナー見てみるか」


 そんな話をしていると店員の一人が縁達に近寄ってきた。


「縁様、風野音様、絆様、鏡様の準備が整うまで、私が解説を案内いたします」

「おお、至れり尽くせり~」

「お願いいたします」


 縁達は、未来緊急ロボ確実参上発火印の解説コーナーへと向かった。

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